学校教育ー31 子どもたちが泣いて喜ぶ体育授業をしましょう!
◆「子どもたちが泣いて喜ぶ体育授業をしましょうよ!」これは、人生の師、故髙橋健夫先生の口癖でした。体育の授業研究をして、ご指導をいただくと、決まってこの言葉を私たちに投げかけてくださいました。
私は、このフレーズが大好きです。そして、常に子どもたちが泣いて喜ぶ体育授業を目指して、日々の実践に取り組んでいました。
子どもたちが泣いて喜ぶ体育授業とはどのような授業なのでしょうか。
子どもたちは、体育授業をとても楽しみにしています。他の教科の授業にはない特長があるからです。運動場や体育館で力一杯運動できるのです。
子どもたちには運動欲求があります。特に、義務教育段階の子どもたちの欲求は成長に結びつくため、とても旺盛です。その欲求と直結している学校教育の授業が、体育授業なのです。私たち教師も、子どもたちが、全力で体を動かし、満足している姿を見ると、とても嬉しくなります。
「泣いて喜ぶ」状態とは? 精一杯運動するだけではなく、運動の仕方が解る、友だちと仲良くなる、先生のことが大好きになる、運動が大好きになる等の副産物がタップリある授業ではないでしょうか。
事実、私が授業をした体育授業の中でも子どもたちが涙を流すことがありました。嬉し涙だけでなく、悔し涙もありました。しかし、悲しくて流した涙ではありませんでした。
私が考える「子どもたちが泣いて喜ぶ体育授業」の条件を整理してみました。
◎導入が興味深く、活動的な授業
◎運動量が豊富な授業
◎友だちとのかかわりが豊かな授業
◎解る場面がふんだんにある授業
◎できた!という達成感や感動がある授業
◎先生が肯定的にかかわっている授業
運動量が豊かであるのは、体育授業の特性だと思います。しかし、いざ、実際に体育授業を参観させていただくと、教師の説明が多く、子どもたちが運動欲求を十分に満足させていない授業が多いのにがっかりしてしまいします。
運動量が豊かであるはずの体育授業ですが思いのほか、運動量が確保されていない授業が多いのには意外です。
また、子ども同士、教師と子どもの間に肯定的な人間関係が構築される体育授業は、子どもたちが泣いて喜ぶ体育授業への重要な条件にあげられると思います。
体育授業は、できた・できない、勝敗が明確になる授業です。しかもそれが、学級の衆人の前で明らかにされてしまうのです。考えようによっては、残酷な場面であると言えるでしょう。しかし、それを繰り返すうちに、子どもたち同士、子どもたちと教師の間に言葉で表現できないようなあたたかい人間関係が育まれていくのです。
「子どもたちが泣いて喜ぶ体育授業」
私は、髙橋健夫先生が理想としていた体育授業の姿をこれからもずっと追い求めていきたいと考えています。