学校教育ー31 頭がよくなる朝マラソン(朝の運動)
ある研修会で大先輩から教えていただいた言葉が、冒頭のタイトルです。保護者の皆さんは「朝の計算」「朝読書」「朝の漢字」の看板を掲げるともろ手を挙げて賛成してくれます。
令和の時代になっても「学力=脳へのインプット(暗記)」というイメージが強いからでしょう。
確かに、計算や漢字のドリルを繰り返し練習すれば、必ず習熟は見られます。むしろ、ドリルをしなければ身に付けられないのも事実です。一度、読んだり、計算したりしただけで、漢字や計算は身に付けられるものではありませんから。
しかし、人間の生理学的なメカニズムから見ると朝一番に行うのに適しているのは何でしょうか?
最近の子ども達は、夜型の生活をしています。学校から帰ると塾の講義を数時間受け、帰宅し食事をしてから家庭学習。布団に入るのは日付が変わってから、というのも珍しくありません。
朝、登校して来る様子を見ても、あくびをして、どこか眠たそうに目をこすっている子どももチラホラ見受けられます。「おはようございます。」と挨拶しても無言で目を逸らしてしまう子ども、教室に入ると、ドカッと机を抱えるようにして座り込んでしまう子ども。
担任時代、子どもたちに就寝時刻を質問してみました。小学校六年生で、約3分の2の子ども達が
10時過ぎでした。そして、朝食を食べない子ども達が3分の1もいたのです。オーバーヒート寸前のエンジンに十分なガソリンを積まずに走っている車のような状態だったのです。
平成の時代の話で恐縮です。
ある市町村の保健部会で市内の小・中学生を対象に学校で検温調査を行いました。その結果、平成5年に36度未満だった子どもが3%だったのに平成14年には、約24%にまで増えていたそうです。この子ども達の体温が上昇するのは、お昼過ぎでしょう。ということは、脳が本来の働きを活発に行うようになるのは午後の授業から、ということになってしまいます。
大先輩は、この人体のメカニズムを理解されていたのでしょう。「朝は、子ども達にマラソンをさせることによって、一日の学習の準備が出来る。」と教えてくださったのだと思います。
マラソンにより、体温を上昇させ、脳に沢山の酸素を送り込むのです。マラソン後の授業では、目もパッチリと開きます。子ども達と一緒にマラソンした私も、頭が冴え、テンポよく授業を進めることが出来ました。
また。最近の脳科学を紐解いた文献等においても、週に3回程度のランニングは、脳の成長に良い体内物質や思考力を高める体内物質を分泌させることも明らかになりつつあるようです。しかも、ランニングは、抗うつ作用もあるとか。いいことのオンパレードです。
これだけ効果がある朝マラソンですが、問題は大人の理解です。「朝からマラソンしては、子どもたちは疲れて授業に身が入らないじゃないか!」という方も多数いらっしゃるでしょう。
きっと子どもの学力と生活リズムを切り離して考えていらっしゃるからでしょう。
朝のマラソン、朝の運動は、生活リズムを整え、頭が良くなる下準備をしてくれているのですが。
もっと、科学的にも社会的にも認知されるのを待たなくてはならないのでしょうか。