体育授業ー5 (低学年)できている子どもを誉める
誤解しないでください。私は、できていない子どもを切り捨てようと言っているのではありません。
私たち教師は、どの子にもしっかりと学習して欲しいという思いが強すぎて、説明をしている時も、地面に絵を描いている子どもや隣の子どもとふざけている子どもを見つけては注意しています。
このように、できていない(学習に集中していない)子どもに対してとても敏感に反応してしまうのです。
そして、一度注意を始めるとまるであくびが連鎖するのと同じように次から次へとできていない部分に目が向いてしまいます。
教師の口から出る言葉が、注意ばかりだと子どもたちは萎縮してしまいます。そして、今まで一生懸命に集中していた子どもたちでさえ学習意欲を減退させてしまうのです。
このような負の連鎖を断ち切るためには、例え教師の話を聞いていない子どもが視界に入ってもグッとこらえて、話を一生懸命に聞いている子ども見つけてオーバーなくらいに誉めるのです。
「Bさんはすごいね。暑い中でも先生のお話をしっかりと聞いてくれていますよ。Bさんの目もおへそも心もずっと先生の方へ向けてくれています。ありがとう。」
こうすると、子どもたちは自分も誉められたくて、急にビシッと集中してくれるのです。この調子で続けて二~三人を誉めてあげると、授業に肯定的な空気が流れ始めます。
誉め言葉は、学習の雰囲気をあたたかくしてくれるだけでなく、子どもたちのやる気を引き出してくれるのです。
1年生の授業でした。準備運動のあと、幅跳び遊びをするよう指示しました。すると何を勘違いしたのか、2つのグループが猛然と校庭を走り出したのです。私は一瞬迷いましたが、残り2つのグループは指示通りに幅跳び遊びを始めています。そこで、この2つのグループに目を向けて指導をすることにしました。
さて、運動場をひとしきり走ってきた2つのグループは、戻ってくるとハッとして遅れを取り戻そうとするかのように幅跳び遊びをものすごい勢いで始めました。私は、この2つのグループには何一つ指示していません。自分たちで始めてくれたのです。
運動場を走り始めた時、私が追いかけて注意したら?
勘違いしているもののやる気になって走り出した子どもたちです。水を差された格好になり学習意欲は低下してしまったでしょう。
学校は失敗しても許される場です。失敗から学べばいいだけです。
限られた授業時間内に、できている子どもに対して誉め言葉を多くすることは、集中力や学習意欲を学級全体に広めていくことにつながります。
大人だって同じです。叱られるより誉められた方がいいに決まっています。
子どもたちの頑張っているところ、できているところを積極的に見つけ、表情豊かに思い切り誉めてあげましょう。
☆子どもたちは誉められるのが大好きです!
子どもたちを積極的に誉めて、肯定的な雰囲気の中で授業を進めましょう。
誉め言葉は、子どもと教師の笑顔と意欲を引き出す大きな力を持っています!