体育授業ー12(中学年)根気強さと深い達成感
◆鉄棒運動や鉄棒遊び(4年生以上は、鉄棒運動、3年生までは鉄棒遊びという分類をしています)では、間違いなく子どもたちの根気強さを養うことができます。
鉄棒運動は、運動のコツを理解したからできるようになるものではなく、何度も、何度も繰り返し練習しできるようになる運動です。子どもたちに根気強さと深い達成感を味わわせる鍵は、鉄棒運動を体育授業以外の休み時間や放課後等にどこまで生活化できるかです。
3年生を担任した時のことです。活発で好奇心旺盛な子どもたちに、継続と努力の大切さを理解させようという願いを胸に、鉄棒遊びの授業に挑みました。
子どもたちの最初の様子をビデオに撮影したり、高学年の上手な子どものビデオや、時には実際にお手本を見せてもらったりして、鉄棒の技や動きに関心を持ってもらうことから始めました。
案の定、持ち前の好奇心に火が点いた子どもたちは、体育授業終了のチャイムが鳴っても、鉄棒から離れようとしません。休み時間や放課後も、鉄棒にぶら下がり、色々な技や動きを工夫しています。私も時間が許す限り、鉄棒へ足を運び、彼らの動きを補助し、指導しました。
そんなある日、担任しているC君の母親から「休み時間くらいは鉄棒を止めて、休ませてあげてほしい。先生もお疲れになってしまうでしょうから」という旨のお手紙をいただきました。
私は、C君は、運動が苦手だけど鉄棒には大変熱心で、積極的に練習に取り組んでくれていることを母親に説明し、今のC君の意欲を大切にしてあげたい、と伝えました。
数日後、C君は、念願の後方片膝掛け回転ができるようになりました。やや重たい体を上手にコントロールしてクルリと回転しました。その様子に、クラスの友達は、拍手喝采です。感動的な一場面でした。学級全体が盛り上がり、鉄棒運動への勢いが加速しました。
C君もよほど嬉しかったのでしょう。帰宅してからすぐに母親に報告したそうです。
後日、授業参観・学級懇談会の折に、C君の母親は、我が子の成長を喜び、私に笑顔で感謝の言葉をかけてくださいました。
根気強さと日々の努力が重なると、達成感は向こうから歩いてきてくれます。
また、そこまで子どもたちを夢中にさせられるような教師の熱心な教材研究や指導方法の研究が求められることを実感しました。
☆百の理屈よりもたったひとつの“できるようになること”の方が、子どもたちに自信を与え、子どもたちの可能性を大きく拓いてくれるものです!