体育授業ー14(中学年)リーダーの育成
◆4年生でハンドボールの授業をした時のことです。二人のリーダーの働きかけが、チームの明暗を分けました。Ⅾ君とE君のお話しです。
二人とも運動が得意で大変明るい性格です。今回のハンドボールの授業に胸躍らせていました。いよいよ、授業が始まり互いに初戦を快勝しました。しかし、勝った後のチームの行動には大きな差が見られました。
D君は、ゲーム後もしきりに作戦を振り返ります。図に描いて、一人ひとりの役割を入念に確認しているのです。チームのメンバーも頷きながらリーダーの話に耳を傾けていました。
一方、E君は勝ったことに満足して、作戦タイムも雑談で終始します。きっとE君は、自分が頑張れば勝てるはず、と少し自惚れていたのかも知れません。
その後の結果は、皆さんのご想像通りです。
D君のチームは、連戦連勝!メンバー一人ひとりが、自分の役割を理解して集団技能に磨きがかかります。E君のチームは、次第に負けがこんできて、気が付くと最下位になってしまいました。
首位と最下位の差は何だったのでしょうか。
一番大きな原因は、リーダーの「運動が苦手な友達」への接し方です。D君は、運動が苦手なFさんに対して、Fさんができる動き方や役割を教え、一緒に練習します。そして、ゲーム中にFさんが失敗しても笑顔で「ドンマイ!」と励まし、決して責めることはしませんでした。
E君は、自分の能力を過信しているためか、運動の苦手なG君に役割を与えることも、他のメンバーの動き方を考えることもしませんでした。ゲーム中は、仲間のことを信用できずに、一人でムキになってボールを奪い、無理な態勢からシュートを打ちまくり悉く失敗しました。さらに、チームが負けてくると怒りを全身に表し、G君や他のメンバーを厳しく叱責します。この時点で、E君のチームからは笑顔が無くなり、失敗を恐れて動きもぎこちなくなってしまいました。
ハンドボールの単元が終了した時、E君はリーダーとしての力不足と仲間を信じることの大切さを理解してくれました。
元々、リーダー性のあるE君です。この学習の後は、学級の中で困っている友達がいると親身になって接し、友達から信頼されるリーダーへと成長してくれました。
体育授業のボールゲームの持つ、心の育成、もっと言えば人間力を高める効果をE君から改めて教えてもらいました。
☆リーダーは、メンバーから信頼されて初めてリーダーとなります。リーダーの言動の仕方を学べるチーム編成と教材を提供し、立場の弱い友達の気持ちに共感できるリーダーを育成しましょう!