職場ー3 メンタルのケアは失敗を認めて切り替えること
◆メンタル(精神的不調)で休職する教員の話題がしばしば報道されています。
事実、相当数の休職者が毎年のようにいるのが現状です。
なぜでしょうか? ひとつは今の教員は比較的挫折を経験していない者が多いことがあげられるでしょう。幼い頃から、優等生だった者がそのまま教員としてデビューしている傾向にあります。
もうひとつは、真面目過ぎて、ギアチェンジが難しいことも原因のひとつではないでしょうか。心の持ち方を切り替えできないのです。
学生時代から優秀で文武両道の教員が突如精神疾患に見舞われ、そのまま休職、場合によっては復帰叶わず退職するケースも年々増えています。
原因は様々ですが、自分の思い通りにいかなかったことが主たる原因になっていることが多いようです。例えば、「子どもたちが、自分の言うことを聞いてくれない」、「保護者が繰り返しクレームを言ってくる」、「同僚が自分のやり方を理解しようとしてくれない」、「管理職から注意された」などです。
いずれも、本人の自己肯定感を否定するような理由ばかりです。
どのような職業でも、自分の思い通りになる仕事などありません。世の成功者と言われる人たちでも、最初から思い通りの結果を出している人は皆無といってよいのではないでしょうか。
「成功する秘訣は、成功するまで諦めないこと」という松下幸之助翁の格言は有名ですが、かの発明王エジソンも同様の言葉を遺しています。
昔から教員は、自分の成功した部分だけを強調し、誇示しようとする傾向があります。
学校で共通したテーマで研究を行い、成果を発表する場では、成功事例ばかりを並べて、自分たちの取組をバラ色に飾る傾向があるのです。研究しても、上手くいかなかった失敗事例については積極的に触れないのです。世界のトヨタでは、上手くいかなかった点を中心に現場改善を重ねているとテレビの番組で聞いたことがあります。学校現場とは逆行している印象を持ちます。
さて、そのような背景を持つ学校現場に、挫折を知らない教員が就職し、壁にぶち当たった時、どうしてよいのか分からなくなり、現場から逃避しようとしてしまうのではないでしょうか。
これが、メンタルの疾患としてカウントされてしまうのです。
では、メンタルを病まない方法は?
それは、「失敗を認め、失敗から成功につながる方法を考えること」だと思います。失敗は、日常茶飯事に起きることなのです。今まで優等生だった教員にも十分に起こりえることであり、特別なことははないのです。
ですから、失敗を悔やんで悩み、引きずり、過去に戻りたいと内向きになるのではなく、失敗を認めて、そこからどう這い上がるか、という思考パターンに持って行くことです。
その時、世間体を考えると進みません。自分は失敗した、ということを堂々と認めて、次に向かうのです。
プロ野球で、チャンスに三振した選手が首をうなだれ、落ち込んだままプレーをすることはありません。三振しても胸を張ってベンチに戻り、堂々と次のプレーに集中しています。きっとメンタルの切り替えに相当のご苦労をされているのではないでしょうか。
そして、起死回生のホームランを打つ姿に感動してしまいます。三振や凡打の度に悩み、戸惑っていてはプロのプレーはできません。
教員の世界も同じです。
そもそも、失敗の方が圧倒的に多いのです。繰り返しになりますが、そのことを認め、切り替え、改善にベストを尽くすこと、この思考パターンこそ、メンタルの疾患に陥らない鍵ではないでしょうか。
これが、自分自身のことを含め、数多くの過去の事例を見て、自信を持って言えることです。