子どもは太陽なのか? 「教育は愛」No.39

学校教育

学校教育ー13 子どもは太陽? 教師は惑星?

ある研究授業でのことでした。6年生のボール運動です。授業は、子どもたちが主体的に学習し、私の想像を上回る様相で展開されました。子どもたちの様子に感激してしまった私は、授業のまとめで「今日は、先生も皆さんから色々なことを学ばせていただきました。ありがとう」と結びました。

 その後の研究協議会でのことです。尊敬する指導者の先生から本音のご指導をいただいたことが今でも忘れられません。

 授業研究会のテーマである「子どもたちの主体的な学習」について、色々な先生方から活発なご意見がありました。その大半が、子どもたちの様子について肯定的なものであり、私もどこか有頂天になっていました。

 協議の後、指導者の先生による指導講評が始まりました。具体的なご指導をいただきます。めあての持たせ方、チーム毎の作戦と練習について、コートの広さや審判の仕方について・・・。

 当日の指導者の先生は、埼玉県内で体育科教育の実践を積まれ、県内の体育関係者から尊敬を集めていた方です。研究会に参加していた先生方も「なるほど」という表情で、熱心にメモをとっています。

 そして、最後に「千葉先生は、授業のまとめで子どもたちから学ばせていただきました、ありがとうと話をしていました。気持ちは分かりますが、授業のまとめとして相応しい言葉だったでしょうか?」

 指導者の先生は、こう続けます。

 「よく、子どもたちは太陽です。子どもが主役です。と表現する教師が多くなってきました。確かに、授業で学習するのは子どもであり、学習の主役です。しかし、子どもが太陽だったら、教師は惑星ですか?子どもの周りをグルグル回っているだけで授業ができるのですか?」

 明快なご指導にすっかり夢中に聞き入ってしまいました。先生はさらに、こう続けられました。

 「そんなおかしなことはないでしょう。教師が授業の計画から展開まで十分に考慮し、意図的・計画的に授業を進めていって初めて子どもたちは主体的に学ぶようになるのではないでしょうか。そして、なぜ、今日の授業のように子どもたちが主体的に学ぶようになったかということについて、分かりやすく説明してあげるのが教師の仕事です」

 この先生のご指導を聞いて、私は教師としての認識の甘さに気付かされました。

 医師は治療を施して、患者の命を救います。病を治しても「頑張ったのは患者さんです」と言う場面を見聞きします。しかし、手術しているのは医師であり、患者さんが自分で治している訳ではないのです。これを教育に当てはめるとご指導いただいた内容がより明確になってきます。授業をしているのは、教師、学習しているのは子ども、学習内容を理解し、できるようになるのは子どもですが、それは教師がねらいを持った授業を行った結果なのです。

 教育する主役は教師です。専門職なのです。プロ意識をしっかりと持ち、指導性や子どもたちの学びをファシリテートする力を存分に発揮させることが必要なのです。

その結果、子どもたちが、生き生きと太陽のように輝いていくのではないでしょうか。

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