落合弘キャプテン 「教育は愛」No.44

教育

生涯学習ー3 落合弘キャプテンから学ばせていただいたこと

◆Jリーグの浦和レッズは、子どもたちの心をサッカーを通して育成させるために「浦和レッズハートフルクラブ」を結成し、国内だけでなく、世界にピッチを広げながら活動されています。クラブのキャプテンは、日本リーグの連続出場記録を持ち、日本サッカーの殿堂入りをされている落合弘氏です。

 落合キャプテンは、さいたま市内の小学校へも継続的に訪問され、子どもたちに熱いご指導をしてくださっています。私も校長時代、落合キャプテンから数多くのことを学ばせていただいています。「一生懸命に生きること」今の時代を生きる上でとても大切なことを落合キャプテンは教えてくださっています。

 落合キャプテンは、旧浦和市で少年時代を過ごされ、家計を助けるために新聞配達をされるなど、数多くのご苦労をされ、浦和レッズのサッカー選手となられました。

 その少年時代のご苦労などを子ども達にお話しされる中で、単にサッカーの技術を磨くだけでなく、思いやりのある行動を取れるようになることや一生懸命に取り組むことの重要性を教えてくださいます。

 「トイレを使ったら、次の人のことを考えて、スリッパを揃えてから出ること」「一生懸命に取り組むことは辛い。それを楽しみながら実践しているのがプロ」、「楽しめるようになるまでは、サッカー以外のことにも一生懸命に取り組まなくてはならない」など、子ども達の心に染み入る講義をしてくださいます。

 講義のあとは、浦和レッズハートフルクラブのコーチ達と一緒にサッカーで汗を流します。学級を二分してゲームを行います。ゲームでは、勝つことよりも、仲間を応援し、心を通わせることに重点がおかれます。ゲーム終了時の子ども達の爽やかな表情が毎回印象的です。

 今、日に三度の食事が用意され、雨風をしのぐ家があり、毎日、着る衣服がある、これらのことは、決して当たり前のことではないのです。

 もっと言えば、今、自分が生きていること自体、当たり前のことではないのです。

 まず、今の状況に感謝の心を持つこと。ここから子ども達を教育することが家庭や学校、社会に求められているのではないでしょうか。

 最近の風潮として、すぐに他人の所為にする傾向があります。自分の思い通りに事が運ばなかった時に、声高に他人の所為にして、自分の力不足、努力不足を振り返ろうとしないのです。

 ですから、一昔前なら「お互い様」で済んだ子ども同士の喧嘩に弁護士が介在し、訴訟騒ぎに発展してしまうこともあるのです。もっと、目の前のことに一生懸命に打ち込む姿勢、ちょっとやそっとの失敗でへこたれない耐性が求められているように感じて止みません。

 落合キャプテンのピンと伸びた背筋、言葉、表情には、苦しさを乗り越え、大きな成功を納めた者のみがまとえる自信のオーラが放たれています。そして、子ども達に一生懸命に生きてほしいという熱い願いが瞳に漲っています。

 そんな落合キャプテンに心惹かれて、校長時代、落合キャプテンに、ご揮毫をお願いしたことがあります。「じゃ、(色紙を)持ち帰って考えてきます」とやや大きめの色紙を持ち帰る落合キャプテン。

 数日後、「校長先生、やっぱりこれかなぁと思って!」と笑顔で手渡してくださった色紙には「一生懸命っていいですね!」と丁寧に書かれてありました。

 そして、教育委員会から校長として復帰した2023年、10年ぶりに落合キャプテンと再会しました。落合キャプテンは、10年前と変わらず愛と情熱に溢れていました。落合キャプテンに、当時いただいた色紙をお見せすると、少し照れたように微笑まれ、「やはり、一生懸命でしょう。それは変わりませんね、今日も一生懸命に頑張ります!」と爽やかに子どもたちが待つ教室へ足を運ばれました。 

                 ・・・ そう、私も一生懸命に生きなくては!!

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