プロはスキルを磨き続ける 「教育は愛」No.50

教師

職場ー7 スキルを磨き続けるのがプロです

◆どのような職業でも、質の高い成果を上げるために必要なスキルを磨くことは大切です。

 飲食店でも繁盛店は常に新しいメニューを開発したり、今までの味に一層の深みを与えたり、目に見える成果をあげてお客さんを集めています。

 教員の世界でも同様です。一度、身に付けたことを繰り返し使い、毎年同じところで子どもたちに受ける冗談を言っているだけでは、いつかは時代に取り残されてしまいます。 

 今、Society5.0社会に向けて、時代は急加速しています。教師の研修も、今までの意識だと追い付かなくなることは必至です。

 学校現場は、保守的な現場です。変わらぬ価値観のもとに、不易と流行を適度に取り入れながら進化している職場でもあります。

 ですから、教師の行う授業についても、昨年と変わらぬ内容、指導法を展開していても目に見えて困ることはありません。

 それをいいことに、教師が自らの授業について何も工夫改善することなく時を過ごしていれば、やがては「ゆでガエル」現象が起きてしまうのは自明の理です。

 ところが、それに気付かない、気付きたくない、教師が存在しているのも残念ながら事実です。

 学校では、教師の授業力を向上させるために、校内で共通の課題を設定して、実践的な授業研究に取り組むのが一般的です。

 しかし、研究しなくても明日の授業に困らないため、忙しい境遇に自分を追い込まなくてもいいではないか、という後ろ向きの意見が出されることも時々見受けられます。

 つまり、やらないための理由を並べ立てるのです。

 そこにはエビデンスなどありません。感覚的なものであり、主観的なものです。

 代表的なものが、「日々の授業だけでなく、事務作業も年々増加しています。保護者対応もあります。研究をしなくてはならないのは分かるけれども、研究をする時間が私たちにはありません」という意見です。最近、問題になっている働き方改革の考え方も「やらない理由」に付け加えられます。

 このような意見に対して、ある大先輩が次のように明快に回答されたのを思い出します。

 「時間がない?というのはどういうことでしょうか。私たちは、みな平等に1日24時間という時間を持っているはずです。あなたの1日は24時間ではないのですか?」

 何やら、一休禅師のトンチ問答のようですが、当時の私には目から鱗が落ちる思いでした。

 この世で、世界中全ての人に平等に与えられているものは、時間です。

 しかも、1日24時間という量は変わりません。

 時間の使い方は、十人十色。

 同じ24時間でも、大事に使っている人、無駄に使っている人、色々です。

 いや、「人生無駄はひとつもない」と言いますから、一見無駄に使っているようでも実は大事に使っているのかも知れません。

 突き詰めて言えば森信三先生の「人生二度なし」に通じる考え方であり、よく言われる「一日一生」の考え方に行き着くのではないでしょうか。

 話は戻しますが、仕事を通して社会に貢献するのが人間の生き方です。いい仕事をして世の中に貢献したいものです。

 私は、教師の働き方改革を進めることには大いに賛成です。

 勤務時間内の効率化を図る働き方改革には積極的に取り組む必要があります。と同時に、教師は、貴重な時間を活用して、子どもたちを指導するためのスキルを磨き続ける意識は持ちたいものです。

 プロとしてのスキルを磨き続けようとする教師一人ひとりの意識の高揚と空気を職場に醸成させることが、社会の変化が一層激しくなる令和の時代に、たくましく生き抜く子どもたちを育てる上で重要なことではないかと考えます。

 スキルを磨くための研修は、教師としての生命維持装置のようなものではないでしょうか。

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