職場ー9 「健康」+「仕事を続ける力」を身に付けましょう
◆若い時分、管理職の先生から「健康に気を付けるように」とよくアドバイスをいただいたものです。
また、自分が管理職になってからも常に、所属職員に同様のアドバイスを繰り返していました。
組織を預かる管理職としては、職員の健康管理は、最も重視することであり、組織が安定したパフォーマンスを発揮する上でも大切な要素となります。
それでも、心の病に陥ってしまう教職員の問題は、大きな社会問題のひとつとして、毎年のように報道されています。
私は、自分の経験から、健康だけではなく、プラスαの力が必要なのではないか?
そう思うようになりました。
学校に通う子どもたちにとって、担任の先生が雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も、明るく元気に授業をしてくれることは当たり前のことです。朝起きると、お父さんとお母さんが「おはよう」と声をかけてくれるのと同じように当たり前のことなのです。
ところが、ある日突然、担任の先生がお休みしてしまい、その後ずっと顔を出さなくなってしまうのです。子どもたちにとって、学校生活のリズムが大きく変わってしまう大問題です。
子どもたちを明るく、元気に指導し続けるためには、心身の健康は欠かせません。
しかし、心身の健康を管理するだけでなく、プラスαの力が必要なのではないでしょうか。
教師には、日々の教材研究だけでなく、保護者からの相談、時には深刻なクレーム対応や職場の同僚とのディスカッションなど、様々な問題を仕事として抱えています。
担任している子どもたちの問題だけでも、個別の問題が多様化され、山積されています。
私は、このような状況の中で、教師が日々の授業を毎日、元気にやり続けるには、様々な問題への対処の仕方を磨くとともに物事の考え方をトレーニングする必要があるのではないかと考えるようになりました。
自分のことを振り返っても、悩んだ時には先輩と飲みに行き、励ましていただいた経験があります。そのお蔭で悩みを乗り越えたこともありました。
しかし、他人の力によって解決するのではなく、自分で解決できるようにする方法を見出さなくては持続可能な力にはならない、と思うようになりました。そこで、私は救いを本に求めました。
自己啓発関係の本を片っ端から読み漁ったのです。時には、映画の主人公やドキュメンタリーなどからヒントを得たこともあります。自分の中に無かった強い存在や考え方などを知り、それを自分の中に反芻しながら、自分の思考回路を変更していったのです。
思考回路を変更するヒントとなったことは、ノートに書き写したり、自分の感想を書いたりして記録しておきました。そして、事ある度に読み直して、繰り返し自分に刷り込んでいったのです。
こうして、かき集めたノートは現在でも大切に読み返しています。その数は、数十冊に及びます。
時間はかかりましたが、効果は着実に表れました。問題やトラブルに遭遇しても、慌てることなく、冷静に対処し解決できるようになりました。
そうやって一つずつ自信を積み重ねていく内に気が付くと、毎日、明るく、元気に職場で安定したパフォーマンスを発揮し続けることができるようになったのです。
「悩みに対する思考回路の変更」これが私の「仕事を続ける力」プラスαの力となりました。
心身の健康の他に、自分に合った「仕事を続ける力」プラスαの力を見出し、身に付けようとすることは、ひょっとするとキャリア教育の重要なコアになるのかも知れません。