管理職ー6 管理職は常に理想のゴール像を示し続けること
◆組織には、日々解決しなければならない課題が山積しています。
学校では、保護者からの要望、子ども同士のトラブル、地域からの要望、そして、教職員の事故や健康上の問題等々・・・枚挙にいとまがありません。
教職員もこれらの課題に追われてしまい、授業を行うのがやっとで課題の中に埋没してしまうことも少なくありません。
そのような状況の中、教育委員会からの新しい指示伝達があり、校長が職員会議で伝えたところで、
「それどころではありません。私たちが今、どのような状況なのか、校長も、教育委員会も全く分かっていないのではないですか?」と、聞く耳を持とうとしない職場もあります。
こういう状況の中で、管理職はどのような言動をとれば良いのでしょうか?
ありがちなのが、ベテランの教員に先のような言葉で詰め寄られた時に「そうですよね。教育委員会は私たちのことを全く理解していないんですよ」と迎合してしまい、事なかれ主義に流されてしまうことです。管理職が、自分で受け止めようとしないで、他人の所為にして逃げようとするのです。
こうなると、最早、この管理職は、今後もいろいろな人達から流されてしまい、フワフワした学校経営を進めることとなってしまいます。
確かに、どこの職場でも解決が急がれる喫緊の課題はあります。
それを処理していくことは、当然のことです。仕事なのですから。
しかし、教師という職は、子どもの未来を拓き、日本の未来を拓く、という未来を創る職業なのです。目の前の課題に対応しながらも、学校で行われる教育活動は、未来に向けてどのようにアップデートしていくのか、常に真剣に考え、勉強し続ける姿勢が必要なのです。
管理職は、教育委員会の指示伝達から、そこに込められた未来への教育の姿をまずは、自分で十分に消化し、自校の実態に合わせて、教職員に指示伝達する必要があります。
その言葉には、管理職が考える将来の自校の姿を明確に反映させていくのです。そうすれば、教職員にもより伝わりやすくなるはずです。
これは、教育委員会からの指示伝達だけではありません。
日頃から、管理職が考え、掲げている理想のゴール像を繰り返し説明していくのです。
現状の課題というぬかるみに足をとられてしまい、一度、二度説明してもすんなり理解されないこともあるでしょう。
しかし、管理職まで一緒になって、そのぬかるみの中でもがき始めてしまっては、教育の質は停滞し、退化するばかりです。
管理職、とりわけ校長は、教育の質を向上させ、教職員の資質能力を高めていく使命を持っています。
これは、学校だけではありません。全ての組織で、仕事の質と職員の能力を向上させることは、そのセクションのリーダーに求められていることではないでしょうか。
そのためには、管理職自身が、広い視野を持って学び、体験し、未来を見据えたビジョンを持たなくてはなりません。
そして、刻々と移り変わる今の世界情勢の中で、自らのビジョンについて、常にアップデートし続けることが大切です。
日本の未来を拓く鍵は、未来社会の主役となる子どもたちを教育する学校教育に委ねられているのですから・・・。