察して報告できる力 「教育は愛」No.66

職場

職場ー11 察する能力を養い報告する力を向上させる

◆職場では上司からの報告を求められることは常です。上司は、自分よりも密度の濃い時間を過ごしているため、報告は簡潔明瞭に行わなければなりません。

 報告の際に、上手に報告できる人と支離滅裂になってしまう人の2タイプに分かれてしまいます。

 その理由は、上司の期待することを察しているか否かにあるのではないでしょうか。

 これは、教育委員会事務局で仕事をしている時に経験した話です。学校という職場にはあまり馴染まない話題かも知れません。

 上司に報告を始めると、次第に上司の顔色が険しくなってきます。

 そして、たまりかねたように「何を言いたいのかサッパリ分かりません」と語気も厳しく指摘されてしまう場面を今まで何度も見てきました。

 もちろん、自分にもこのように上司から指摘された経験が少なからずあります。

 日々忙しくしている上司の中には「結論を先に言ってください」と日頃から注文をしてくる人も数多くいました。

 確かに、報告を聞く側からすると核心に至るまでの道のりが長すぎて、時間がもったいない、と感じてしまうことも確かです。私も上司と呼ばれる役職にある時、トイレに行く時間もないくらいスケジュールが密になっている時がありました。ひとつ終わると、すぐに次のヒアリングが入ってくるのです。

 ですから、「結論を先に言ってください」と注文する気持ちもよく分かります。

 なぜ、このような報告をしてしまう状況に陥るのでしょうか。

 ひとつには、報告する相手、すなわち上司の期待値から外れている場合があるでしょう。かゆいところに手が届かない内容である場合です。これは、聞いていてもじれったくなってしまいます。

 もう一つ考えられるのは、報告する相手が何を聞きたいと思っているのか、察する能力に疎いという場合です。

 一緒に仕事をしていると「この上司は予算を気にするタイプ」、「こちらの上司は過去の先例を気にするタイプ」など、上司一人ひとりによって異なる傾向を掴むことができるものです。

 上司が待っているストライクゾーンに直球を投げ込むのです。そうすれば、気持ち良くカウントを運ぶことができ、打ち込まれることはありません。

 この察する能力は、ある程度、学習することによって身に付けられると思います。

 先輩から上司の傾向を教えていただき、そのストライクゾーンに合わせて報告できれば、打ち込まれて、炎上することはないでしょう。

 しかし、さらにもう一歩進めて、先輩の助言がなくても「察する力」を身に付けるにはどうしたら良いのでしょうか?

 私は、他人とコミュニケーションを図る際に、相手の気持ちを常に想像しながら話しをする習慣を身に付けることだと思います。

 そして、相手の意に沿わないボール球を投げてしまった時には、直ちに軌道修正を試みるのです。

 このあたりは、相手によって千差万別の対応となります。打者一人ひとり、みな傾向が異なるのと同様です。

 しかし、相手のことばかり考えて、神経質になってしまうとよい仕事はできません。ある程度開き直って、「トライ&エラー」の精神でコミュニケーションしてみてはいかがでしょうか。

 そうこうしている内に、話の内容の組み立て方や話すテンポも自然と相手に合わせたものになってくるから不思議です。バッターに合わせた投球テンポです。

 報告は、大事なコミュニケーションのひとつです。

 相手の望んでいるストライクゾーンを常に意識して、妙な小細工をした変化球でなく、直球勝負をしてみることをお勧めします。

 駆け引きやら変化球は、直球勝負を重ねる内に、自然と身に付いてくるものですから。                 

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