職場ー13 理想のリーダー像を描き続ける
◆いくつもの職場を経験しましたが、そこには、必ずリーダーがいます。
今でも仕事をご一緒したい、と思う方もあれば、記憶の辺境へ押し込んでしまいたくなる人もいます。
しかし、どのリーダーからも貴重な教訓を学ばせていただきました。その教訓は、自分がリーダーになった時に、余すことなく活用させていただくことができたと思います。無駄はありませんでした。
ところで、理想のリーダー像とはどのようなものでしょうか? このことについては、数多くの関連書物が「自己啓発コーナー」に並んでいます。私は気に入った書物を購入しては、熱中してパージをめくります。
そして、本から学んだ教訓を自らの経験と照らし合わせた時に、また新しいリーダー像が見えてくるような気がしています。
日本海軍の連合艦隊司令官 山本五十六元帥の有名な言葉です。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば人は育たず。
やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば人は実らず」
一行目は有名ですが、私は二行目、三行目を知った時、自分の中で腹落ちした思いがしました。
リーダーは、謙虚に耳を傾け、一度任せたからには、つべこべと口出しをせずに感謝の気持ちで見守り、信頼すること。そうやって、後進を育てていくこと。
ここまでできたリーダーには、私は巡り会ったことがありません。優れた実践力、謙虚さ、深い愛情を持ったリーダーの姿、素敵だと思います。
私が、出会ったリーダーには、優れた決断力と判断力で危機を回避したり、優しさと心の絆で学校全体を包み込んだりした方々がいました。
一方、法や権力で職員を服従させようとしたり、細かいことが気になって、職員を信用できなかった人もいました。
十人十色のリーダーと出会うことにより、職員がどのような心理状態になるのか、フォロアーとして、身をもって体験することができました。
その中でひとつ言えることは、リーダーの存在が重すぎてはならないということです。
No.18 管理職-2「校長が管理する優先順位1位は自分の心です」でも書かせていただきましたが、「トップリーダーは『高級な帽子』であれ」という教訓が私は大好きです。
見栄えがよく、仕立ても優れているのですが、被っている人の負担になっていない。高級な帽子は軽くて、被っていることさえ忘れてしまうそうです。
つまり、優れたリーダーほど、組織の中で、居るのか居ないのか分からないというのです。
そのようなリーダーになるためには、自分の心をしっかりと管理する必要があります。
管理職は、他人を管理する前に、自分の心を管理することが求められます。
私が自分の心を管理する拠り所としているのは中国の古典『六然訓』です。
自処超然 処人曖然 有事斬然 無事澄然 得意淡然 失意泰然
実際に自分がリーダーとなり、この教訓を生かそうとするのですが、なかなかどうして、煩悩が首を持ち上げ、思うようにはいかないものです。
きっと、私が出会った「この人は?」と疑問視していたリーダーも、ひょっとすると私と同じように煩悩と日々格闘していらっしゃったのでは ・・・?
自分の心を管理するのは、他人を管理することよりずっと難しいものです。
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