歴史から学ぶ魅力的な方 「教育は愛」No.84

コラム

コラムー14 歴史から学び続けている魅力的な方

 歴史上の人物について研究を深め、現在抱えている問題点と結び付けてご教示してくださる方とお会いしました。

 歴史を学ぶ理由は、過去の事実を知ることだけではありません。過去の歴史を紐解きながら、人間がより良い未来を希求するために学ぶのです。

 歴史に名を残している偉人達は、何百年に一度の難解な問題を、知略と行動力によって解決しています。また、不幸にして判断力を誤ったために取り返しのつかない失敗をしてしまった者もいます。

 何千という時の流れを経ても、一人の人間が考えること、行動することについて、さほどの差はありません。

 私がお会いした二人の方の話です。その方たちは、歴史上の人物の生き方から、数多くの教訓を得て、ご自分の解釈を加えながら、その日のテーマに沿って分かりやすく語ってくださいました。

 お一人は、細井平洲、もう一人は、橋本佐内を取り上げていらっしゃいました。時代の転換期に登場した二人の偉人の思考や信念は、教育の世界にも十分に通用するものでした。

 時代の行く末を見据えた考え方、過去の歴史から受け継いだ普遍的な考え方、これらは、一時、教育の世界で使いまわされた「不易と流行」に合致します。

 そして、お二人の結びは、細井平洲、橋本佐内のような気概を持って、学校経営に邁進してほしいというものでした。

 私は、学校の管理職を目指す者たちが参加するセミナーでお二人のお話しを拝聴しました。

 このお二人には共通していることがあります。それは、偉人の功績から、その背景にある生活環境や生き方を探り、ご自身の生き方に大きく活かされているということです。

 偉人たちの結果としての功績だけを取り上げるのではなく、そこに至るまでの悩みや苦労、人としての生き方に深く感銘を受け、それをご自身の生き方に結び付け、実践されていた、ということです。

 人の心を動かす話には、きれいなことばかりでなく、悩みや争いなど、どこか人間臭さがあるものです。私は、すぐさま細井平洲と橋本佐内の文献をあたり、上杉鷹山との出逢いや別れ、安政の大獄で若くして命を絶たれた無念など、時空を超えて想像を巡らしたものです。

 そして、改めてこの二人の偉人を深く胸に刻みました。

 ◎人は生きていれば必ず悩みます。悩み、迷った時には、示唆を与えてくれる羅針盤のような人を求めるのです。その羅針盤となるのは、師です。「我以外、皆我師なり」の言葉の通り、自らが謙虚に教えを探っていれば、どのような人の一言でも心に響き、ヒントとすることができるはずです。

 何も生きている師ばかりではありません。今回の魅力的な方から学ばせていただいたのは、師は歴史の中にも多数存在するということです。歴史上の人物を学び、研究する中で、その人物の思考やメンタルまで想像できるのです。そこで得た教訓を自分の中で咀嚼し、吸収して、明日への力に変換することができるのです。

 今、私は『十八史略』や『三国志』などに記されている、千を超える人物から羅針盤のような教訓を学び続けています。

 これも細井平洲と橋本佐内を説いてくださったお二人の魅力的な方が歴史上の人物とお話しする世界へと私を誘ってくださったからと感謝しております。

タイトルとURLをコピーしました