管理職ー9 校長の情報発信について
◆「学校は閉ざされた社会ですね。もっと情報発信をしてはいかがですか?」と世間の人が口にされるのを長年、耳にタコができるほど聞いてきました。
校長の情報発信といえば、学校だよりの巻頭記事くらいでしょう。しかし、トップは多くを語り、発信する必要があると長年考えていました。2度目の校長になるとICTが学校に深く入り込み、情報発信の方法も今までと違うツールを活用できるようになりました。
ホームページの更新についての校内研修がありました。私は、情報教育主任からブログの更新方法を手ほどきいただき、校長用のブログページを割り当てていただきました。
そのブログのタイトルは悩んだ末、自分の教育信条である「教育は愛」に決定しました。学校での教育活動の様子、子どもたちの姿、教職員の姿、校長の教育に対する考え方等々、幅広く発信することにしました。
元来、物事を書いてまとめることは大好きでした。担任時代も学級通信を年度末に冊子に製本したり、1年間の研究内容を冊子にしたり、最近では、出版を意識した随想をまとめたりしていました。
このブログ「教育は愛」は、私の執筆、発信作業にピタリとはまりました。校内を一巡するとブログの記事が頭に浮かび、デジカメでそのイメージに合った写真を撮影します。
記事は15分間くらいで一気に書き上げ、配信します。一日に多い時は5本くらいアップしていました。
ブログの評判は、ジワジワと広がりました。3ヶ月もすると、校外ですれ違う保護者の方から「校長先生、『教育は愛』毎日楽しみにしています!」というお声をいただけるようになりました。
また、学校での子どもたちの様子を知り得る保護者の皆様の情報源は、授業参観しかなかったことも改めて感じたものです。
給食を食べている様子をブログに掲載した際にも、ある保護者の方が「子どもたちは、あんなふうに給食を食べていたのですね。初めて知りました」という感想をいただきました。特にコロナ禍があり、学校での子どもたちの様子についてはベールを被ってしまったのかも知れません。
誉められれば木に登るタイプですので、ブログの更新にはさらに力が入っていきました。やがて、ブログのアクセス件数も2週間で約1万件を更新するようになりました。
ブログを更新するようになってから、自分の教育に関する思いや子どもたちの様子、教師の努力、保護者・地域の皆様のご協力・ご支援の様子等を積極的に発信することができるようになりました。
東北地方から引っ越してくる方が、学校へ転入の連絡をしてきた際に、「学校のことはよく分かっています。『教育は愛』を毎日読んでいますから」と話してくださいました。
我が子が通う学校の様子を知りたいという願いは、普遍のものです。
これだけ、デジタルが日常化されているのです。どのような情報もリアルタイムで世界中を駆け巡ります。学校だけが、未だに閉ざされた印象を持たれる方は少なくありません。
ですから、世間の多くの方が使用しているツールであるスマホを使って、気軽に見ることができるような情報を発信することは、校長自らが取り組む大切な仕事だと思っています。