「気」を交わす 「教育は愛」No.430

管理職

管理職ー37 「気」を交わす

◆校長になると始業式や終業式、各種式典で全校の子どもたちを前にしてお話しをする機会が増えます。もちろん、保護者や地域の皆様の前でお話しさせていただく機会も数多くあります。私は、子どもたちに向けて話しをすることが大好きです。

 今、お世話になっている学校では、児童数が900人を超えます。体育館で話をする時には、教職員を含めれば約1,000人です。

 経験が浅い時には、子どもたちの人数に圧倒されることもありました。しかし、慣れてくると人数が多ければ多いほど、燃えてきます。

 沢山の人数を相手にお話しする時には、伝えたい内容を絞り、できるだけ短い時間で話すことを心がけるようにしています。長々と話すと、よほど内容が興味深いものでない限り、聴衆の関心を維持することは難しいものです。

 私は、原稿を用意しますが、その内容は全て頭の中に格納しておきます。間違っても原稿の棒読みはしないようにしています。

 そして、自分が最も楽しみにしているのは、自分の言葉に子どもたちがどのように反応するか、そのことが楽しみで仕方ないのです。私がお話しする聴衆は、1年生から6年生までの年齢差があります。全ての聴衆が理解し、関心を示してくれるようにお話しするには?

 私は、一言話す度に、子どもたちと「気」を交わしているイメージをもっています。自分が言葉を用いて自らの「気」を放つ、その「気」を子どもたちが、どのように受け止め、私へどのような「気」を返してくれるのか、そのやりとりがたまらなく楽しいのです。子どもたちは正直です。つまらない「気」を放てば、下を向いて軽く反らされてしまいます。受け止めてくれれば、私の顔を見ながら「やる気」を返してくれます。

 噺家の師匠さん方は、寄席に来たお客とこのような「気」のやりとりを毎回、真剣勝負されているのではないでしょうか。噺家さんだけではないでしょう。ミュージカルの舞台俳優さんたちも自分のパフォーマンスに観客がどのような「気」を返してくれるのか、真剣勝負をされているのだと思います。

 私の場合も同じです。子どもたちと「気」を交わすことは、楽しみであると同時に真剣勝負です。評価は子どもたちの態度や表情に表れます。間違っても、所属職員に「今日の話はどうだった?」などと尋ねてはいけません。良識のある社会人は、例外なく「素晴らしかったです」と返答してくれるからです。

 自分の放った「気」の評価は、聴衆から返ってきた「気」で自己評価するのがベストだと思っています。

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