クロールと平泳ぎ 「教育は愛」No.149

体育授業

体育授業ー27 (高学年)クロールと平泳ぎの指導方法

小学校の学習指導要領を見ると水泳では、「クロール及び平泳ぎの技能を身に付け、続けて長く泳ぐことができるようにする」と明記されています。

 低学年で潜る、浮くを学習し、「けのび」の姿勢から面かぶりクロールへ入るのは理に適っています。その後、面かぶりクロールからクロールへ進み、クロールができた子どもから平泳ぎへ進むという学習過程が一般的に行われています。

 この学習過程だとクロールが泳げない子どもは、小学校で一度も平泳ぎを経験しないまま中学校へ進学することになります。 

 私は、この学習過程に疑問を感じ、高学年を担任すると、クロールが泳げない子どもにも平泳ぎの指導をすることにしました。

 Q君は六年生でようやく面かぶりクロールが泳げるようになりました。面かぶりクロールができるようになると私たち教師はすぐに息継ぎを指導したがります。

 しかし、この段階では、面かぶりクロールをたっぷり経験させ、脱力して浮きの姿勢を保てるようになるまで習熟させることが重要です。脱力して浮く姿勢を身に付けてしまえば、ちょっとやそっとでは沈むことはありません。この段階まで来れば、息継ぎの技能は各段に容易に習得することができます。

 私はこの段階で、Q君に平泳ぎを指導しました。足の形や腕の動かし方など、部分の指導ではなく、Q君の両足を持って、平泳ぎのリズム「手、足、伸びて」を口伴奏しながらQ君のイメージしている平泳ぎをやってもらうのです。このリズムを刻ませてから、手や足の動きを修正していきます。

 こうすると細かい動きに課題はあるもののQ君は平泳ぎらししい泳ぎを見せてくれました。けのびの姿勢がしっかりとできているので、平泳ぎの息継ぎは楽にできるのです。息継ぎができると泳ぎが苦手な子どもは大きな安心感を持つようになります。

 私が教師になってから通ったスイミングスクールでは、「けのび→クロール→背泳ぎ→平泳ぎ→バタフライ」という学習過程で指導してくれました。泳ぎの本質を捉えて、効率のよい指導方法をプロとして日夜研究されているのでしょう。

 一方学校教育では「クロール→平泳ぎ」という固定観念に縛られて、できない子どもはいつもクロールの途中で時間切れ、という場面が多く見られます。

 問題は、教師の水泳指導に関する柔軟な発想が乏しいことにあります。Q君のように、姿勢ができたら平泳ぎも同時に指導して成果のあった子どもは沢山いるのです。

 虻蜂取らずに陥らないことを心がけながら、思い切ったメスを入れられるだけの勇気と研究が教師には求められているのでしゃないでしょうか。

 ☆水泳の指導過程は、一本道ではありません。色々な道があるのです。それを 見つけて、子どもたちを伸ばすことがプロの教師です!

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