体育授業ー22 (高学年)チームワークを学ぶ
◆ボールゲームに最も大切なことは、チームワークです。『小学校学習指導要領解説 体育編』(文部科学省)の中にも子どもたちに身に付けさせたい態度として「規則を守り、互いに仲良くゲームを行い、勝敗を素直に認めることができるようにする」と明記されています。
6年生のバスケットボールの授業でした。Mチームは、授業が進むに連れて男女の仲が険悪になってきました。チーム編成は、私が運動能力、相性、リーダーと運動が苦手な子ども等の実態を考慮して行いました。高学年になるとチーム編成を自分たちで行いたくなるものですが、チーム編成は、協調性や勝利の均等性を確保する上で大切な教材の一部といってよいでしょう。最初から子ども任せにしていると学習内容を正しく理解させることが難しくなります。それなのに子どもたちの自主性、主体性にかまけてチーム編成を子ども任せにしてしまう教師が多いので注意が必要です。
さて、Mチームです。授業が始まると私の予想を超えたトラブルが幾つも起こり、単元の中ほどまで進むとチームの雰囲気は最悪の状態になってしまいました。明らかに男女のコミュニケーションが不足していました。
私は、休み時間にMチームのメンバーにトコトン話し合いをさせました。やがて、メンバー一人ひとりが本音をぶちまけ始めたのです。
「リーダーのN君は、もっと優しい言い方をしてほしい」
「ゲーム中に喧嘩するのはよくない」
「作戦はみんなで考えた方がいい」等々
溜まっていた不満を爆発させた後は、わだかまりが消えたのか、メンバーは友達の意見に耳を傾けるようになりました。そして、運動場へ出て、みんなで練習を始めたのです。子どもたちは、心に刺さっていたとげが抜けたようにさわやかな表情で声をかけ合い、ボールを追いかけます。
やがてこの成果は結果になって表れました。ゲームで連戦連勝を重ね、終了時には最下位から二位まで躍進したのです。
単元終了後、リーダーのN君が私のところへきてしみじみ話してくれました。
「あの時、先生が話し合いをトコトンやらせてくれたお蔭で、チームワークの大切さを学ぶことができました。とても思い出に残るバスケットボールになりました。ありがとうございます」
このような感想や感謝を述べてくれるようになるのも高学年の子どもたちの発達段階だと言えます。
学年が進むに連れ、本音も隠すようになります。いかに本音を引き出し、子どもたちのチームワークを高めることができるか、それは、教師の学級経営に直結しているものであり、大袈裟に言えば、教師の人間観が影響している気がしてなりません。
高学年にもなると、子どもたちには、教師の生き方、考え方、信念までも伝わっていくものです。
☆子どもたちにとって、チームワークを学ぶためには、喧嘩や揉め事も大事な教材になります。
ですから、喧嘩や揉め事が起きた時には「真のチームワーク」を学ばせる絶好の機会と喜び、トコト
ン本音を出させるよう腰を据えて指導してはいかがでしょう!