教師ー28 体育の研究授業参観
◆かつて、指導者として体育の研究授業を参観する時、決まって私のところへ来て、実際の授業場面を見ながら教師の指導方法や、技や動きのポイントなどを質問して来る熱心な先生がいました。その熱意が心地よく、授業を参観しながら体育授業について語り合ったことを懐かしく思います。
私が体育主任だった時、他校の研究授業を参観した時もそうでした。指導者の側へ行き、実際に授業を見ながらいろいろと質問させていただいたものです。
研究協議会の中では、質問は限られています。折角、ご指導をいただく機会に恵まれたのに、自分の聞きたいことの半分も聞けない、そんなもどかしさから、参観時に直接ご指導いただくことを思いついたのです。
指導者の先生のお邪魔にならないよう、見計らいながら、自分の疑問をぶつけます。すると、協議会の指導講評では聞けないような本音のご指導をいただくことができる場合もあるのです。何よりも、目の前で行われている授業を見ながらご指導いただけるのです。これほど、分かりやすく、効率のよい研修はありません。
当時の私と同じように、私に質問してくる先生がいました。その先生が勤務されている学校へ体育の指導者としてお邪魔させていただいたのがご縁でした。それ以後、その先生とはいろいろな機会に体育授業について議論を重ねました。
恩師、髙橋健夫先生にもご紹介して、一緒にお仕事をさせていただいたこともありました。お酒をいただきながら、髙橋先生の体育授業論を拝聴した好機もありました。
この先生にあるのは、子どもたちにとってよい体育授業の追究と熱意でした。
やがて、同じ勉強会で勉強するようになり、私が身を退いてからは、その先生が中心となって勉強会を盛り上げてくださるようになりました。良き後継者に道をお譲りすることができたことは、私にとってこの上ない幸せです。
今では、体育だけではなく、校長会でも中心となってご活躍されています。
この先生のように、体育の研究授業で熱意を持って参観される方がめっきり少なくなってしまったような気がします。
若い先生方には、もっと、形振り構わず、究めようとする熱意を前面に出していただきたいと思います。