学校教育ー78 優しさのはぐくみ方
◆優しさをはぐくむにはどうしたらよいのでしょうか。私は、教師の日々の行動が鍵を握ると考えます。優しさは、自然発生するものではないと思っています。
ある学級へ給食の時間にお邪魔すると、ひとつのグループは牛乳で乾杯を始めました。
今日の校外学習の成功を祝っての乾杯だったそうです。
その直後に、いきなり「Happy birthday!」の歌が始まりました。今日は、○○さんのお誕生日だったようです。このことを担任の教師も気付いていませんでした。子どもたちが気づき、自分たちで友だちを祝ったのです。
いつも、この学級の子どもたちは「優しい子どもたちだなぁ」と感心していました。
この優しさはどこから来ているのでしょうか?
私は、担任の教師にあると思います。担任は、いつも笑顔で子どもたち、同僚、保護者に接することができます。そして、誉め上手です。子どもたちを誉めて伸ばす典型です。
しかし、子どもたちが人を傷つけるようなことをしたときには、毅然と叱ることができます。子どもたちにとって、担任の教師は、この上ない教材なのです。
優しい言葉、行為は、とても心地よいものであることを教師自身が子どもたちに理解させるのです。説諭で理解させるのではありません。教師の子どもたちへの接し方を通して、率先垂範して理解させているのです。
人は優しくされれば、今度は自分が優しくしたいと思うものです。愛される経験のある者は、必ず人を愛するのと似ています。
この教師が担任すると子どもたちは皆、同じように優しくなります。
この教師と接していると、私でさえ、「こんな先生に子どもの頃、担任をしていただきたかったなぁ」と思ってしまうほどです。
優しさは、人としての大きな魅力です。子どもたちに優しさを日々の学校生活で、自然体ではぐくんでいきたいものです。教師の優しさを教材として。