学校教育ー56 卒業式で思うこと
◆「6年生の担任だけが、卒業生を指導しているのではありません。それまでに多くの先生方が指導されていたのです」このような言葉をよく耳にします。確かにその通りです。既に、学校を去られた先生方にとっても思い出深い卒業生であることに変わりはありません。
しかし、実際に卒業学年を担任するには、数多くの苦労があります。
修学旅行の宿泊学習、運動会や音楽会等の学校行事では、常に模範となることが求められます。委員会やクラブ活動でも、6年生の子どもたちのリーダーシップが問われます。
何か、あれば、その矛先は担任に向けられてしまいます。
実際に、6年生の担任は、1年を通して、気が休まることはありません。常に、次のことに追われている印象を持ちます。私も6年生を何回も担任させていただいていましたが、卒業式を終えるまで、気持ちが休まることはありませんでした。
これは、実際に経験してみないと分からないことかも知れません。
小学校では、担任する学年が比較的固定しがちです。低学年の担任は、低学年を繰り返し、高学年の担任は高学年を繰り返す、といった構図が多々見られます。
担任時代、一緒に勤務した先輩の先生の中には「私は低学年しか持ちません」と名言されていた人もいました。何を根拠にそのようなことを口にしたのか?とても違和感がありました。
さて、卒業式では6年生の担任が脚光を浴びます。それを見て、リード文のような言葉を口にされる人もいます。私はそれを否定するつもりはありません。もっともなことです。しかし、1年間の6年生の担任が背負ったご苦労は、称賛され、リスペクトされるに十分なものだと思います。
実際に背負ったことのある人のみが理解できるものが、そこにはあるのではないでしょうか。
毎年、卒業式を迎えるとそのような思いにかられます。