叱ると怒るの違い 「教育は愛」No.301

学校教育

学校教育ー65 叱ると怒るの違い

◆学校では「怒ってはいけない、叱るのが指導です」とよく言われます。当初、私はこの両者の違いを私的感情の有無であると考えていました。

 しかし、童門冬二氏の『人生の師』(三笠書房)の一節に明確な答えを見出した思いがしました。

 それは、名君と謳われた徳川吉宗が、老中の水野忠邦を諭す場面に書かれていました。

 「叱るというのは、叱る側に愛情がある。だから、叱られた者が反省して、もう1度奮起することを期待している。そういう呼び水として激しい言葉を使い、その者の反省を促すのだ。一方、叱るということは、すでにその者を見放しているということだ。つまり、感情が先に出て憎しみがそこにある。したがって、怒られた方も、怒った側の憎悪を敏感に感じ取る。これで、その二人の人間関係は終わりだ」

 大変分かりやすい説明だと思います。

 愛情の有無には、これからもその人間と付き合っていこうとする意志の有無が問題となっているのではないでしょうか。

 教師にとって子どもたちは、学校における運命共同体と言っても過言ではないでしょう。子どもたちは、学校という閉ざされた簡易社会の中で社会性や社会に出て必要とされる知識や技術を身に付けます。当然のことながら、未熟な子どもたちには失敗もあるし、時として好ましくないこともしてしまうでしょう。だから、学校で学んでいるのですから。

 そのことをしっかりと理解しておけば、子どもたちを指導する際に、自分の感情に左右されることはなくなるでしょう。

 その前に、教師は、子どもたちとの肯定的な人間関係を構築し、子どもたちへの愛情を紡いでいれば、決して子どもたちを怒ることはなくなるのではないでしょうか。

 「教育は愛」です。

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