教師ー50 壁になれるか
◆ICTの普及により、教師の知識量は、授業において絶対的なものではなくなりました。今や子どもたちは、教師の知識量の何倍もの知識を端末から得ることができるのです。そのような中、教師は子どもたちにとって、乗り越えるべき壁となれるかが、教育の鍵となるような気がしています。
子どもたちは、学校で学びます。授業から知識・技能、思考、関心・意欲等々を、学級生活や学校生活、部活動等から友だちとの協力の仕方、思いやりなどを学んでいます。
そして、子どもたちに学校教育で学ばせたいことのひとつに、失敗しても立ち上がって、チャレンジする心があります。今、若者たちのメンタルの弱さがしばしば話題となっています。就職しても3ヶ月で辞めてしまう、1度失敗すると落ち込んで、家に閉じこもってしまうなどが深刻な社会問題のひとつとして取り上げられています。
このようなメンタルの弱さを克服するためには、学校生活で、失敗しても立ち上がれるような思考パターンを身に付け、積極的に物事を考えられるようなポジティブな心を磨くことが大切だと考えます。
子どもたちが、失敗しても、立ち上がり、超えようとする存在が、目の前の教師だったら、子どもたちと教師の関係も理想的なものになると考えています。
知識・技能はインターネットには敵いません。しかし、人間の心の持ち方や課題に対して毅然と立ち向かって行く姿勢は、教師が自らの姿を通して指導することができるのです。
ここに、教師に求められるものとして、専門的な知識や技能だけでは収まりません。
人間力が求められるのです。子どもたちから尊敬され、信頼されるような人間力を身に付けること、それが、教師が子どもたちの壁になれるか否かの分かれ目ではないでしょうか。