生涯学習ー56 夢や目標
◆全国学力・学習状況調査には質問紙問題があります。これには、地域との関わりや子どもたちの内面についてなど、非認知能力の様子をはかる問題です。ここで「将来の夢や目標を持っていますか」という質問があります。
私がお世話になっている小学校では、全国学力・学習状況調査の結果は大変良好です。国語、算数、理科の認知能力もリード文で紹介した日認知能力も全国、市の平均値を上回る結果を示しています。
ただひとつ、気になるのは「将来の夢や目標を持っていますか」の質問で「持っている」と回答した子どもの割合が、やや低かったという点です。
毎年、年度末には卒業生と一緒に給食をいただきます。校長室で5人くらいの子どもたちと会話を楽しみながら、給食をいただく「卒業記念会食」です。
その時に、「将来の夢は何ですか?」と私は質問しています。
「米国の自動車会社を立て直したい」「世界を救う医薬品を開発したい」「沢山の人を喜ばせるようなアーティストになりたい」「宇宙飛行士になりたい」「プロ野球選手、プロサッカー選手になりたい」等々、子どもたちの夢を聞いていると嬉しくなってきます。
しかし、なかには「特にありません」「サラリーマンになればいいです」といった子どももいます。
私は「小学校の教師になりたい→そのために勉強して○○大学を卒業したい→そのためには○○高校に入学したい→そのためには、学年で○位以内に入っている必要がある→だから苦手な数学も勉強する」という具合で将来の夢から逆算して、苦手な数学も勉強していました。将来、教師になるため、その夢(目標)があったからこそ、勉強できたのです。
このような思考を磨くことがキャリア教育なのかも知れません。
変化の激しい社会です。明るい予測だけではありません。だからこそ、子どもたちには、幸せな人生を歩むための夢や目標を持ってもらいたいと願っています。
では、そのために学校では何をしたらよいのか?
子どもたちの将来の選択肢を増えせるような力を身に付けさせること、感動できるような場面を経験させること、夢を叶えた人、夢に向かって努力している人の話を聞かせること、
教師や友だちと将来の夢や目標について語り合うこと・・・決定打は模索中です。きっと子どもたち一人ひとりの琴線に触れる“こと”が異なると思うのです。ひとつの方法だけでなくいろいろな手法を教育活動として展開していくことが必要なのではないでしょうか。
また、子どもたちの中には、自分の父母の姿から将来の夢や目標を抱く者も少なくありません。父母の背中をしっかり見ているのです。
そして、私たち教師も自分の背中を通して、働くことの大変さ、尊さ、やり甲斐などを語れるようになりたいものです。これも大事なキャリア教育のひとつかも知れません。
ところで、私たち大人も「将来の夢や目標を持っていますか?」
何歳になっても、現在進行形で夢や目標に向かって人生を歩いていきたいです。