大向こうを見て 「教育は愛」No.324

教師

教師ー48 大向こうを見て

◆大先輩が、「教師はもっと大向こうを見て仕事をするべきだ!」と檄を飛ばしていたのを思い出すことがあります。小さなことにクヨクヨしないで、もっとあなたのことを期待している常連さんを相手に元気を出せ!という意味だと解釈しています。

 大向こうとは劇場用語です。向こう桟敷の総称で、客席後方に仕切られた立ち見席のことであり、ここには、常連客が陣取るそうです。常連客は役者に掛け声をかけ舞台や役者を盛り上げてくれます。

 教師は、授業のことだけでなく保護者対応や時に同僚とのトラブルなどで悩むことも少なくありません。元気を無くし、子どもたちの前に立つ。気の入っていない授業を義務的に行う。子どもたちにとってこれ以上迷惑なことはありません。

 教師も人間ですから悩むことも多々あります。

 しかし、どんな時でも、教室には常連客の子どもたちがいるのです。毎日、大入り満員なのです。その子どもたちに、今日も笑顔で、全力の授業を展開する。子どもたちの理解した表情、授業に満足した表情は、教師にとって何にも代えがたい生きがいとなります。

 さらに、子どもだけでなく大向こうのもっと向こうには、保護者の皆さんがいるのです。

 私たち教師に、期待して、じっと見守ってくれています。

 そう考えると教室という舞台は、とても大きな、沢山のお客さんがいる劇場に見えてきます。その中で全力を尽くせることは、最高のやり甲斐ではないでしょうか。

 私も現在、校長としてお仕事をさせていただいています。

 校長講話朝会では、900人を超える子どもたちと50人以上の教職員の前で話しをさせていただきます。約1,000人の常連客の向こうにはさらに2倍、3倍のご家族の方が子どもたちから私の話を聞くことになるのです。

 疲れたとか、どこかが痛いとか、体調が悪いなどとは言ってはいられません。

 大向こうを見ながら、今日も元気に、笑顔で、お仕事させていただきたいと考えています。

 私の暗い表情、疲れた姿など誰一人として望んでいないのですから・・・。

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