家庭教育ー13 親離れ・子離れ
◆全国的に小学校では、親、特に母親から離れられない子どもが相当数います。朝は、通学半ではなく母親と一緒に登校する子ども。正門まで入っても母親から離れられずに泣きじゃくる子ども、中には、全く家から出られない子どももいます。
全国的に不登校が問題となって数十年となります。不登校には様々な要因があります。学校でも不登校の原因を探り、積極的な方策を重ねているところです。
その中で、保護者との連携・協力は必須となります。そこで、浮き上がってくるひとつの問題として子離れ・親離れがあると考えます。
少子化が進む今、子どもたちは、我慢することが苦手になってきた印象を強く持っています。私は、来年度に入学される子どもたちの保護者に小学校へ入学する前にぜひ、身に付けておいてほしいことを3つお願いしています。
「挨拶する力、我慢する力、後片付けできる力」です。
挨拶は、自分から「おはようございます」が言える習慣をご家庭で身に付けておいてほしいということです。また、後片付けは、何事もやりっ放しではなく、自分で使った物、着たものは自分で片付けられるようにするということです。そして、我慢する力とは、泣いて要求すれば、親が全て願いを叶えてくれるという幼児期の要求からの脱却です。
子どもが泣いて要求すると、可愛そうだから、と言って何でも叶えてしまうと、子どもは、それを誤学習してしまいます。
ある専門家は、3歳までに子どもに躾けることは、我慢させることと名言されていました。小学校教育に長年携わっている私には、目から鱗が落ちたような思いでした。
我慢できる子どもは、人の話をしっかりと聞けます。自分が話したいことを我慢できるからです。
我慢できる子どもは、友だちに親切にできます。自分のやりたいことを我慢できるからです。
我慢できる子どもは、勉強ができるようになります。ゲームやテレビを我慢して、家庭で勉強できるからです。
このようにして考えると、学校生活や社会生活で自立させるためには、親離れもひとつの我慢と言えるのではないでしょうか。親に頼らずに自分で行うことには不安がつきまとうかも知れません。しかし、自立するためには必要な我慢です。
そのためには、段階的に、子どもの様子を見ながら、親が上手に子どもから離れていくことも必要になります。手は離れても、心は離れません。離れることも愛だと私は思います。
上手な親離れ、上手な子離れは、令和の時代に、益々クローズアップされる問題かも知れません。