体育授業ー33 体育授業の学習隊形
◆国語や算数は、教師が教室に入ってきた時点で、子どもたちの学習隊形は既に完成されています。教室には、子どもたちの座席が指定されていて、そこに子どもたちが着席した時点で学習隊形が整い、教科書とノートを出した時に学習準備がスタンバイされます。
ところが、体育授業では学習空間があまりにも広いため、子どもたちの意識を集中させることが困難です。教師が声を張り上げて、運動場に広がっている子どもたちに説明したところで、子どもたちの頭に入ることはありません。やはり、教師の話を聞く態勢、教室の自席のような指定席が体育授業にも必要です。
私は、年間の体育授業のオリエンテーションでは、必ずこの学習隊形について指導しました。具体的には、2列縦隊、4列縦隊は、どこでも通用するオフィシャルな隊形です。これに座った姿勢や体操体形が発展形として入ります。
この他に独自に作った隊形が2つあります。
ひとつは、「見学隊形」という3列横隊で、前列から座るー中腰―起立して教師の方を見るのです。これは、技の示範を見せる時や学習に必要な資料を見せる時に大変有効でした。また、校外行事で記念写真を撮影する時にもこの隊形は大きな効果を発揮しました。
見学隊形の真ん中を要として弧を描くように曲げる隊形が2つめのお話し隊形です。真ん中に教師が座ると、西洋の劇場の中にいるように教師の顔を1階席、2階席、3階席から覗いているような構図となります。これはとても効果的でした。子どもたちの視線と教師の視線がピタッと合うのです。小さな声でも十分に話は通ります。
この隊形は、勤務した学校は勿論のこと、研究授業で指導者としてお世話になった学校へも紹介し、好評を得ました。
また、子どもたちへの指導の仕方ですが、機械的に指導するのではなく、笛の合図とハンドサインを使ってゲーム感覚で指導すると1単位時間で十分に子どもたちに身に付けさせることができます。あとは、毎時間、これらの隊形を活用し続けることです。
ただし、お話し隊形で気分をよくして5分間も10分間も話し続けることのないように注意してください。特に2列目の中腰姿勢の子どもたちは、これで結構疲れるということをお忘れなく。