子どもの人生の主人公 「教育は愛」No.5

家庭教育

家庭教育ー4 子どもの人生の主人公は子ども自身です

◆親は、子どもの明るい未来を心から願っているものです。そして、自分が果たせなかった夢の実現を我が子に託してしまうこともしばしば見受けられます。その夢が、親子双方でうまく共有される場合もあれば、親の期待に応えきれない場合もあります。親の我が子への思いをどのように子どもに伝えて行けばよいのでしょうか?

 担任時代、提出された夏休みの宿題を一つひとつ、記録しながら思うこと、それは、この作品に親がどの程度関わっているのだろうか?ということでした。

 小学校低学年の子どもが作ったとは思えないような工作、妙に文章が整い、起承転結が見事に書き込まれている読書感想文など。学校で子どもたちの学習の様子を目の当たりにしている教師の目から見ると、複雑な思いにかられてしまうことも多々ありました。

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 さて、あるご家庭では、書初めになると子ども本人よりも親が一生懸命になってしまい、お手本を分析して、自分で書き上げた作品を下敷きにして、何度も繰り返しなぞらせる親御さんもいらっしゃいました。こうすることにより、ある程度は上達し、時には、入賞することもできるでしょう。

 子どもから聞いた話ですが、その子の母親が言うには、毎年入賞しているのは、近所の習字教室に通っている子どもばかり、今年こそ、その習字教室に勝つんだと母親が勢い込んでいたとのこと。

 また、将来、プロ野球選手やプロゴルファーにするため、幼い頃から父親が練習に付き合うというケースも複数、見聞きしてきました。

 確かに、父親がコーチとなり、付きっ切りで指導を続ければ、他の子どもとは比較にならない程、技能を向上させることができます。そして、このままプロまで登り詰める子どももいるでしょう。

 しかし、そういうケースでは、親の思いで始めたことが、いつの間にか、子ども自身の夢や願いに昇華している場合が多いのではないでしょうか。

 多くの場合は、いくら親が熱心に取り組ませようとしても「何で自分は野球をやらなくてはならないのか?」と子どもが疑問を持ってしまい、それ以降、身が入らなくなってしまうことも多々あります。

 子どもたちは「親の夢や願いを叶えるために、生きているのではない」、「自分の主人公は自分自身である」、ということにある日、気付くのです。

 そもそも、子どもの将来は子ども自身が決めればよいのです。自ら決めた夢や願いでない限り、本気になって取り組むことなど土台無理な話ではないでしょうか。

 親や学校は、子どもの将来への力となる基礎や考え方をしっかりと教育し、夢の選択肢を出来るだけ広げてあげればよいのだと思います。あくまでも、決めるのは子ども自身に任せるべきです。

 そして、プロのアスリートになるにしても、漢字は書けた方がいいし、計算だって出来るようになった方がよいに決まっています。「自分は、プロ野球選手になるのだから野球だけやっていればいいんだ」という狭い了見だとプロ野球選手を目指す以前に、人としての器量を磨くことができません。

 プロのアスリートにせよ、その他のどのような職業に就くにしても、行き着くところ、人としての器量がものを言うのです。

 親は、我が子に自分の果たせなかった夢や願いを決して押し付けてはいけません。

 子どもの選択肢のひとつとして提示するのであれば構いませんが、一本道で示すのは考えものです。子どもは、自分の分身ではないのです。生まれた瞬間から、その子自身の人生を歩き始めているのです。親とは別個の人格であり、別個の人生を歩んでいるのですから。

 子どもの人生の主人公は、子ども自身です。

 もし、親が望む夢や願いをまだ実現してないのであれば、それを子どもに託すのではなく、今からでも親自身が実現させればいいのではないでしょうか。親子とは言え、別々の人生を歩んでいるのだということをしっかりと踏まえて我が子の教育に取り組みたいものです。

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