コラムー28 後輩を育てる魅力的な方
◆「大変だと思うけど、千葉さんならきっとできますよ。頑張ってください!」と大きな仕事で行き詰まっている時に、励ましてくださった大先輩がいます。この方の笑顔とお言葉を頭の中で何回もリピートさせて窮地を脱したことがあります。
この大先輩のように、自分の後輩が本当に困っている時に救いとなる言葉を掛けてくださる方は、人生の宝です。
先輩からの一言で「もうひと踏ん張り!」と奮い立つ経験をした者には、その先輩の一言が生涯忘れることが出来ない人生の節目となる場合もあるのです。
調子の良い時に誉めてくださる方は沢山います。しかし、調子が下降している時に励ましでくださる方は思いのほか少ないものです。
「溺れている犬を助けようとすると、自分も溺れてしまう」だから、溺れている犬を見たら無視すること、この教訓はゴルフの指導書で読んだ例えです。他人のトラブルに必要以上に気に掛けていると自分のペースが乱れてしまうから気を付けろ!という教訓です。
このことは、ゴルフに限らず日常生活や仕事の上でも当てはまることも多々あるでしょう。また、「他人の不幸は蜜の味」などという言葉もあります。人が抱えている悩みやトラブルを見て、「自分は良かった」と思う心理でしょう。これは、少なからず誰にも当てはまるのではないでしょうか。
さて、後輩を育てよう、窮地となれば救いたいと思って行動してくださる方々には、共通していることが幾つかあります。
ひとつは、その道の成功者であること。過去に同様の苦しいご経験をされ、それを乗り越えた実体験があるのです。だからこそ、心に染み入るような励ましの言葉を掛けてくださるのでしょう。
二つ目は、常に前向きであり、決して他人の所為にしたり、人を責めたりしません。人の長所を見出そうと努力しているということです。
三つ目は、表現力が豊かであり、話し方や話題も新鮮で話しに説得力をもっていることです。
四つ目は、後輩の立場や思いに共感し、育てようという強い意志を持っていることです。
このような方々の周囲には、いつも人が集い、爽やかで、温かい空気が流れています。その心地よい空気が、また人を呼び、人の輪が大きく広がっていくのでしょう。
よく後輩を育てるという大義名分の下、くどくどとお説教したり、自分の自慢話ばかりしたりする人がいます。子どもではないのですからこれは逆効果です。特に酒席で、エンドレスで話し始めた日には、顔も見たくなくなるのが人情です。
◎後輩は、自分がいつか来た道を歩んでいるのです。そのことを理解していれば、後輩に必要なことは何か、自ずと分かってくるのではないでしょうか。
まず、そのことを深く理解して、後輩に声を掛けていきたいと日頃から考えています。私の窮地を救ってくださった魅力的な大先輩への恩返しの意味も込めて。