体育授業-29 (高学年)心の絆を紡ぐリレー
◆私が、体育主任になった頃、高田典衛先生の著書に「学級を開いて一番先に行う体育授業はリレーがよい」と書かれていたのを思い出します。リレーは、子どもたちの人間関係を育むのに効果があるというのが、その理由でした。
確かにリレーの授業は、最も手軽で、子どもたちを燃えさせることができる授業です。
1年生の子どもたちでもバトンを見せ、「リレーをやろう」と言えば、全員がリレーのイメージを無条件で持ってくれます。学校体育の中で最もポピュラーな教材と言えるでしょう。
私が6年生を担任した時のことです。教室で自己紹介をしていると、すぐにこのクラスにはチームワークが不足しているということが分かりました。今では、毎年学級編成するのが主流ですが、以前は二年間ごとの学級編成が主流でした。ですから、2年間かけて学級の人間関係を醸成することができました。
私が担任したこの学級は、5年生の時に子ども同士の人間関係が決して良好ではなかったのです。
そこで私は4月にリレーの授業を計画し、チームの勝敗よりも学級全体のチームワークを高めることに照準を合わせました。
チーム編成は、トラック半周分の全力走のタイムから、各チームがほぼ平等になるよう私が行いました。リーダー、副リーダーは、チームで話し合って決めます。ただし、私の方から条件がひとつ、リーダー、副リーダーは、必ず男女の組み合わせになるようにというものでした。
チームは4チームです。競走は二チームで行い、残りの二チームは、応援と見学です。
リレーの勝敗の決め方は、通常の順位とは異なる方法を選びました。集団達成型の方法です。
各チームには、全員の合計タイムが算出されています。この合計タイムをバトンリレーにより、1秒上回れば1点、2秒上回れば2点、3点以上で銅メダル、5点以上で銀メダル、7点以上で金メダル、というめあてを設定しました。しかも、全てのチームが銅メダルを取ろうという学級全体の集団達成目標を設定したのです。
さて、授業が始まると、リレーという教材の面白さから、子どもたちの興味・関心はすぐに高まりました。しかし、一点、一秒の壁が想像以上に立ちはだかります。これを解決するために、バトンパスに絞った学習を繰り返すとともに、チームワークと応援を重視したのです。
その結果、最終時に4チーム全てが見事に3秒の壁を打ち破ったのです。チームのめあてはもちろんですが、学級全体の目標を達成した時の喜びは、子どもたちにとって格別だったようです。
私は、今回のリレーの授業を通して子どもたちが、男女の壁を越えて、懸命に応援した姿に惜しみない拍手を贈りました。
☆新年度、学級の基礎を作るには、子どもたちに友達の大切さを学ばせる教材づくりを工夫しましょう!集団達成型に工夫したリレーは、子どもたちの人間関係を良好にする上で大変効果的でした!