投力の向上 「教育は愛」No.132

中学年

体育授業ー19(中学年)投力の向上

◆子どもたちの投力は、平成の時代から低下しており、令和の時代になっても、向上する気配が見当たりません。保護者の中には、たかが投力、学力さえ向上すればよい。というお考えを述べられる方もいらっしゃいました。

 しかし、投力が低下しているということは、自分の体の使い方が分からないままでいる子どもがいる、ということなのです。体は、正しく使って初めて、運動能力を発揮できるようになるのです。

 なぜ、投力が低下の一途をたどってしまったのでしょうか。一言で申し上げれば、経験不足です。

 昭和の子どもたちは、今ほどおもちゃを持っていません。面子遊びや落下傘遊びなど、スナップを利かせて物を投げたり、打ち付けたりする運動を遊びの中で経験していました。それに比べて、今の子どもたちは、ゲーム機を操作する指先は発達しているものの、手足を使って運動しながら遊ぶ経験が著しく欠落しているのです。これは、前にも述べた「三間の欠如」に原因があります。

 経験しなければ、人間の体は持てる機能を発揮することはできないままです。骨折の後、リハビリをしないと固まって動けなくなるのに似ています。経験しなければ、退化する一方なのです。

 そこで、投力を向上させるために、肘を引き絞り、スナップを利かせる運動を意図的に経験させてみました。

 4年生に約一週間、十分間ずつ、ペンキで的を描いた板を地面に置き、その的に向かって、思い切りゴムボールを叩きつける運動です。子どもたちは、夢中になってボールを叩きつけます。最初、空回りしていたボールも、経験している内に、ポーンと音をさせ、垂直に跳ね上がるようになります。

 この運動を経験させた後、ソフトボール投げの測定をしてみました。すると、学級の子どもたちは、平均して約2.5mも投力が向上していたのです。

 各種運動にはポイントがあります。動きのポイントをしっかりと押さえて、経験を積ませれば、子どもたちの体は、持てる運動能力を発揮してくれるようにできているのです。

☆正しい動きを繰り返すことによって子どもの運動能力を正しく開発させます!これは、正しい書き順で書けば、きれいな文字が書けるようになるのと類似しています。

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