学校教育ー106 拍手の効果
◆私は、拍手という行為がとても美しく、素敵な行為だと感じています。その理由は、心からの拍手には、その場に居る人たちの心をひとつにする効果があるからです。心をひとつにする中で、励ましや感謝思いやりなどを共有できる素敵な行為だと思います。
素敵な音楽を聴いた時などに、その演奏を称賛する為に立ち上がって拍手を贈るスタンディングオベーションはその極みです。演奏者と観客が心をひとつにして、演奏の感動を分かち合っているのです。そこには、称賛と感謝の気持ちが表れています。
私は、その行為に美しさと人としての優しさと品位を感じるのです。
子どもたちの豊かな心をはぐくむために、もっと積極的に“拍手”という行為のもつ意味や行い方を大人たちはしっかりと教える必要があると思っています。
拍手には、感謝や感動など、心がこもっていなくては意味がありません。では、心をこめた拍手とはどのような拍手なのでしょうか。
私は、担任時分にある先輩に教えていただいたことがあります。
「拍手は、速く、強く、気持ちよく(心を込める)行うものです。いい加減に拍手していては、相手に伝わらないし、失礼です」
「なるほど」、と感じ入ったものです。
一方、「拍手は強制されて行うものではない、子どもに教える必要などない」という人もいます。確かに一理あります。
しかし、拍手のもつ意味と行い方を教えることと、その人個人が、必要の有無を論じることは全く別の次元の話しだと思います。
以前、中堅教師の授業を参観した時、授業終了の挨拶時に子どもたちが「ありがとうございました」と頭を下げた時のことです。「先生は、みなさんに教師として当然の仕事をしただけです。みなさんからお礼を言われる筋合いはありません」と氷のような表情で言ってのけた時にはビックリしました。
個人の価値観はさておいて、日本で最も美しい言葉である「ありがとうございました」を笑顔で大切にできる“人としての優しさ”をもってほしいと思いました。
拍手も同じです。個人の価値観は、独りで好きなだけ述べていればよいのです。
教師なら、子どもたちに、美徳である社会性のひとつ、“拍手”という行為を熱い心をもって教えてあげてほしいと思います。
拍手という行為は、全国共通の美しい行為なのですから。