体育授業ー32 教師の授業イメージ
◆教師は、大学で教育学や学習指導要領に関することなどを学びます。そして、実際の授業については、教育実習で実践的に学びます。近年では、学校へボランティアで入って、教師の仕事を補助する仕組みも数多く取り入れられています。
学生時代から、学校教育の実情を学ぶ機会は確実に増えています。
しかし、いざ学校へ教師として着任すると授業のイメージは他のところにあるようです。それは、自分が過去に受けたことのある授業が、自分の授業イメージの大半にあたるのです。特に部活動の指導では、その傾向が顕著に表れます。
自身が学生時代に全国大会等へ出場した経験があると、自分が監督(先生)に指導された内容を何の迷いもなく生徒に指導するようになります。そして、教師としてのキャリアが短くても、絶大な自信を持っているのです。
教科の授業にしても、教科書は自分の頃と違っていても、子どもたちの指名の仕方や、グループの作り方、定期試験の作り方など、拠り所としているのは、自分を教えてくれた教師のやり方になっている場合が多いのです。
これは、本人も気付かずに行っている場合もあるようです。
時代は、凄まじい速度で変化のスピードを上げています。不易の部分も多々ありますが、変わりゆく時代、社会に適った授業の姿というものもあるはずです。ましてや、教師の指導方法は、子どもの変化、保護者の変化、教師の働き方の変化に応じて変化することが求められます。
医学の進歩により、開腹手術が内視鏡手術に変化しています。医師は、常に患者の命を救うために新しい術式や道具を改善、工夫、創造しているのです。いつまでも開腹手術しかできないのでは、多様化する患者に応じた診察はできません。
昭和の時代、パソコンを活用した体育授業は、リスクと効率が悪く、定着し切れませんでした。そのイメージで、令和の時代もパソコンを使わない体育授業に何の疑問を持たずに続けていけば、内視鏡があるのに使用しないで、全て開腹手術をする医師と同様です。
時代に取り残されてしまいます。
パソコンを活用した授業は、教師自身は受けていません。サンプルがないのです。
しかし、そもそも、自分が受けた授業をサンプルにしているようでは、今の社会では変化の流れに到底ついていけないのです。パソコンは、タブレットになり、大変安価な価格で市場に出回り始めています。ランドセルにもタブレットポケットが付いたモデルも販売され始めました。
令和の時代に合った、体育授業の指導方法を開発する「時」を迎えています。