日本の良き伝統 「教育は愛」No.165

家庭教育

家庭教育ー14 日本の良き伝統

◆母が眠る市民霊園には、お盆やお彼岸には、早朝から沢山の人達がお参りに訪れています。私は、その姿を見る度に、日本のよき伝統に誇りさえ感じています。

祖父母や父母の眠るお墓に来て、小さい子どもが手を合わせている姿は、家庭教育の重要な核を見ている思いがします。

 母も祖父が眠る上野のお墓にお参りすることが若い頃から好きだったと言います。小学生の頃、母と一緒にお寺に行き、住職さんご夫妻とお話しをしてから、お線香を手向け、手を合わせたことは、よく覚えています。母は、お墓をお参りして、祖父といろいろな会話をして、生きる勇気をいただいていたのではないでしょうか。

 私の祖母は、長女が生まれる少し前に他界しました。長女を祖母に会わせることができずに残念な気持ちが胸に残りました。そのような思いもあり、上野のお墓に、家族揃ってよくお参りしたものです。ご住職さんご夫妻との会話も私にとっては、楽しみのひとつでした。祖母の血を引く自分の成長をご住職ご夫妻にご報告できることを、まるで祖母に報告しているような気分になったものです。

 母が、市民霊園に眠ってからは、上野のお墓とは縁遠くなりました。お墓参りは、専ら母のお墓となりました。

 子どもたち、孫たちに、亡き親や祖父母を敬う行事を大切にする姿勢を見せること、伝えていくことは、とても大切な家庭教育だと考えています。

 人は、誰でも人とつながって、社会の中で生きていかなくてはなりません。その原点には、血縁を知り、敬うことが必要なのではないでしょうか。

 自分のルーツを知り、自分の両親・祖父母、先祖が懸命に生きてきた事実に敬意を払い、その流れの中で今、自分が生きていることに感謝するのです。

 幼い頃は意味が分からないかも知れません。お墓参りという形式的なことのみが記憶に残るかでかも知れません。しかし、自分の親や周囲の親戚が、天に帰った肉親を敬い、大切にする姿を見せることによって、自分の存在を理解し、感謝できるようになるのではないでしょうか。

 近年、欧米諸国に比べて、日本の子どもたちの自己肯定感の低さがしばしば話題となります。日本人としての誇りを持ち、自分の家庭に生まれてきたことに対する誇りを持つことが必要ではないでしょうか。

 全ての子どもたちは唯一無二の存在なのですから。

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