学校教育ー53 歌唱
◆卒業式シーズンになると卒業にふさわしいいろいろな楽曲を耳に学校には、感動する場面が数多くあります。心に響く歌声の裏には何があるのでしょうか?
先日、音楽主任が歌唱指導をしていてひょっとしたらこれからな?と思うことがありました。
音楽主任は、声の大小や発生を指導するだけでなく、この歌詞を歌う時の感情の持ち方をしきりに指導していました。発生する言葉、歌詞に感情を入れるように子どもたちへ指導していたのです。
これを聞いて、私は宝塚歌劇を思い出しました。宝塚歌劇では、名前もない人物が沢山登場します。「街の民衆」や「兵士たち」などです。それらの役を担当するジェンヌさんたちは、自分の役に名前をつけ、生い立ちや家族構成まで克明に設定した上で、演じるというのです。
だから、舞台上の言葉や表情にも、必然性が出てくるのです。
こうして、舞台上の何十人ものジェンヌさんたちが、舞台に命を吹き込んでいるのです。それを観たお客さんたちは、言葉では表現できないような感動で胸がいっぱいになるのではないでしょうか。
歌唱でも、気持ちの入らない、発生だけを重視した歌声は聴いている人に感動を与えることはできません。一人ひとりが気持ちを入れて歌うからこそ、感動を生むのです。
そして、本気になって、気持ちを入れている子どもの人数分、感動の値は上がるのではないでしょうか。一人でも、「早く終わらないかな」という後ろ向きの子どもがいれば、感動値は低下してしまいます。
歌でも芝居でも、踊りでも、表現するためには、気持ちづくりこそ大事なのだと卒業式の歌唱指導を見ていて感じました。