学校教育ー90 消え残る想い
◆私は、教員人生の中で数え切れないほどの子どもたちを担任させていただきました。子どもたちとの想い出は皆、キラキラ輝いているのですが、その中でとりわけ光輝いている想い出があります。私はこれを「消え残る想い」と名付けています。私が教員人生で最後に担任させていただいた2年生の子どもたちと保護者の皆様からいただいた宝物です。
私は、2003年に念願の1年生を担任させていただき、そのまま2年生へと持ち上がらせていただきました。これで、1年生から6年生まですべての学年を担任させていただいたこととなります。幸せ者です。
2年生の子どもたちは、1年生のメンバーがそのまま持ち上がった訳ではありません。学級編成をしたのでメンバーは替っています。しかし、学年で共通理解を図り、教育活動を進めていたので、学んだ内容はどの学級にも差異はありませんでした。小学生としての基礎・基本がしっかりと身に付いていた学年です。
私は、1年生の時よりも“学びの力”を加速させている子どもたちの姿を目の当たりにして、驚きを感じずにはいられませんでした。
特に私のライフワークである体育授業での子どもたちの技の伸びにはビックリしました。跳び箱遊びで基礎基本を踏まえながら、学びを深めているうちに、子どもたちは、中学年から高学年で学ぶ台上前転やかかえ込み跳びまでできるようになってしまったのです。改めて、低学年の子どもたちのもつ可能性とパワーの大きさを実感することができました。
また、この学級でも毎日、学級通信を発行しました。その結果、保護者の皆様からの応援も絶大なものでした。学級懇談会は、和気藹々として、笑顔が溢れ、最高の雰囲気でした。
こうして、保護者の皆様と思いをひとつにして、可能性に満ちあふれた子どもたちと充実した日々を過ごすことができました。
3学期の修了式の日のことです。
式を終え、教室で子どもたちに最後の授業をしました。「今日でお別れ」、ということは教室にいるみんなが分かっています。目に涙を浮かべる子どもも少なくありませんでした。
子どもたちを励まし、授業を終え、帰りの会をしようとしたところに学級のPTA役員さんたちが数名、教室へ入って来ました。何が始まるのかと思っていると、役員さんたちは、子どもたちに一輪ずつきれいなお花を渡し、私にプレゼントするよう促してくださったのです。サプライズでした。どうやら、事前に練習もしていたようです。
子どもたちが一人ずつ、私に歩み寄り、お花を一輪手渡しながら「ありがとうございました」「3年生でも千葉先生が担任の先生になってほしいです」など、コメントしてくれました。最初こそ、笑顔で受け取り「こちらこそありがとうございました」とお礼を言っていられたのですが、途中で涙腺が崩壊し子どもたちの顔もぼやけ、言葉も胸に詰まってしまい、握手して頷くのが精一杯でした。
PTAの役員の皆様の目にも涙が光っています。ほとんどの子どもたちが泣いています。
手渡された花は、気が付けば、抱えきれないほどの大きな花束になっていました。
この時の優しさと美しさに満ちた教室の風景は今でも、忘れられません。教師として最高の喜びであり、「消え残る想い」です。