管理職の覚悟 「教育は愛」No.163

管理職

管理職ー12 管理職の覚悟

◆管理職は、責任ばかりが重くなり、割に合わない職である、と言い切り管理職離れの傾向は全国で留まるところを知りません。しかし、それでも学校経営をしたい、という夢を持ち、管理職を目指して、関係法規や教育施策などを懸命に勉強している教師もいます。 

確かに管理職にとっても難しい時代になっているとは思いますが、なってみれば夢とやり甲斐に溢れている職です。しかし、覚悟も必要です。

 管理職になると、職員室の風景も学校の風景も全て、教諭時代とは異なります。今までは、自分の学級や学年だけしか見えない景色でした。人間関係もその中での限られた人間だけです。

 しかし、管理職になると、自分を待つ子どもたちはいない、職員室で見るのは全教職員、保護者は、皆、管理職だからと、いろいろな相談をしてくるようになります。

 また、教育委員会も管理職への指示伝達を行い、管理職を通して教職員への様々な周知を求めてくるようになるのです。

 さらに、大地震などの災害時には、学校施設管理者としての避難所運営に携わる義務も生じてきます。

 確かに、現行の管理職手当だけでは到底、割に合わない仕事だと言えるかも知れません。それでも、管理職、特に校長は、自分のビジョンを学校中に反映させ、子ども、保護者、教職員、さらには地域までチェンジしていく可能性を持っています。私は、そこに夢とロマンを感じ、校長職を楽しませていただいています。

 さて、最近の若い管理職と接していると、価値観の相違に遭遇することがあります。

 それは、管理職としての覚悟です。

 先日、ある先輩との会話です。「校長の時は、常に学校のことで頭が一杯だった。家に帰っても学校のことが気になり、そのプレッシャーが肩に重くのしかかっていた。校長職を辞めてからは、その重みがきれいに消え去り、笑顔を取り戻すことができた」

 これは、管理職になれば皆、経験することだと思います。しかし、最近、学校のことよりも自分の生活のことを優先する価値観を持った若い管理職が散見されるようになりました。 

 簡単に言えば、優先順位が異なるのです。学校よりも、まず自分の生活です。

 例えば、重要な学校行事がある時に、自分の子どもの行事と重なった。私は、教諭であれば、自分の子どもの行事を優先させてほしいと思います。しかし、管理職となったらどうでしょうか。

 ここに、管理職としての覚悟の有無が見てとれるのです。

 覚悟の無い管理職は、きっと先ほどの先輩のようなプレッシャーなど感じることはないでしょう。ある意味、プレッシャーを感じないからこそ、長くできるのかも知れません。

 働き方改革全盛の時代です。自分の生活を大事にすることが何よりも優先されるべき、というお考えもあることでしょう。もっともなことかも知れません。

 しかし、管理職が学校を優先しなくなったら、誰が学校のことを一番に考えてくれるのでしょうか?

 昭和時代の私は、そこに違和感を感じずにはいられません。

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