終戦の日 「教育は愛」No.418

家庭教育

家庭教育ー27 終戦の日

◆戦後80年目となる「終戦の日」を迎えました。戦争当時を知る世代の方々もご高齢となっていらっしゃいます。私も母と祖母が生きている時は、8月15日には、戦争当時の様子や一家の様子についていろいろな話をしてくれたものです。

 母は、終戦当時に満州にいました。祖父母は、長男と長女を日本へ残して、満州へ渡り、水道関係の仕事をしていたそうです。そして、終戦と同時に祖父は一家を連れて日本へ帰国しました。この時の引揚げには大変な苦労があり、祖父はこの時の無理がたたって、帰国後間もなく他界してしまったそうです。とても優しく、家族思いの父親だったと母も祖母も口を揃えて話してくれました。

 母は、引揚げの時に、九州で数日間、船を止められたこと、しらみの消毒をされたこと、帰国後は配給の物資の荷物運びをさせられたこと、近所の荒川でしじみを採ったこと、いつもお腹が空いていたこと、などを断片的に話してくれました。

 祖母は、祖父のことについては、優しくて、働き者、家族思いで、決して怒ることがなかったことなどを懐かしそうに話してくれたものです。戦中、戦後の辛かったこと、大変だったことについては、進んで話そうとはしませんでした。きっと、語り尽くせないご苦労があったのでしょう。

 仏壇には、満州で撮影した時の家族写真を飾っています。凜とした祖父を中心に家族皆が背筋を伸ばしています。

 母と祖母が亡くなってから、戦争というものが、少し遠くの出来事に思えるようになってきました。実際に体験した人からの話は、リアルで心に響きます。今、思えばもっと母や祖母から戦争のこと、一家のことなどを聞いておけば良かったと後悔しています。

 学校教育でも子どもたちは、戦争について、社会科を中心に学習しています。以前は、戦争を実際に体験された地域の方からお話しをうかがう機会もありました。しかし、リード文のとおり、ご高齢となられて今では、なかなかお話しをうかがう機会を設定することは叶いません。

 先日の報道で、広島の被爆体験を後世に伝えるため、被爆された方に膨大なインタビューに答えていただき、それをAIの力で集約することにより、その方の映像がリアルに質問に答えてくれるような装置を作ったことが伝えられていました。

 戦争は絶対に繰り返していけないこと、世界中の平和を願うこと、そして、命の尊さを噛みしめること。

 これらについて、学校でも、家庭でも、地域でも、真剣に子どもたちに教えていかなくてはならないことを胸に刻んだ「終戦の日」です。    

※日中戦争と第二次世界大戦では、民間人を含めて、約310万人もの尊い命が失われました。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。    合掌

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