学校教育ー47 子どもたちが自走する授業
◆大学院派遣で授業デザインを研究している教師の研究授業を参観しました。小学校英語の授業です。この授業を参観してしみじみと感じたことは、私が今まで経験したり、参観したりしたことのないタイプの授業だということです。
この授業が令和の教育観に合致した授業なのかも知れません。
小学校6年生の授業です。導入では、流暢な英語と情味の溢れる笑顔で子どもたちの心を鷲づかみにします。子どもたちは、笑顔で英語を話し、教師の広げる世界に惹き込まれていくのがよく分かります。
幾つかの例題を教師が主体となって行います。子どもたちとの問答を英語で繰り返すうちに、その例題を通して、これから行う学習ゲームのルールや行い方を理解していきます。
ここで特筆すべきことは、教師らしい説明は一切ないのです。自然と会話の中から、子どもたちに理解させてしまうのです。
理解した子どもたちは、教師が用意した教材の学習ゲームを自分たちで行いたくて仕方なくなるのです。
その頃合いを見計らって、教師はグループを編成させ、ゲーム開始を呼びかけます。
子どもたちは嬉々としてゲームに集中します。ゲームを楽しみながら、本時に理解させたい英会話の定型を習熟させていくのです。
この教師は、以前にも同様のデザインで研究授業を行いました。
笑顔で子どもたちを英語の世界に惹き込み、あとは、子どもたちに自走させるのです。
ある6年生が以前、この教師のことを次のように話してくれました。
「○○先生は、私たちに英語を分かりやすく教えてくれるために一生懸命に研究しているのがよく分かります」
この子どもはさらに続けます。
「私は、○○先生のような小学校の先生になりたいです」
授業力は教師の生命ラインです。授業をマンネリで行うのではなく、常に研究し、工夫することにより、子どもたちを学びの世界に誘うことができるのです。
ベテランと言える立場になろうとも、教材研究を怠ってはならないのです。
常に新鮮な食材を使って料理する調理師のように、授業のネタも新鮮なものでなくては、子どもたちの口に合わないのかも知れません。