苦手な子どもへの指導 「教育は愛」No.145

体育授業

体育授業ー25 (高学年)苦手な子どもへの指導のタイミング

◆以前、若い先生方を対象とした鉄棒運動の実技研修会を行いました。

 私は、過去の実践から大変効果のあった振動系の技、後方膝掛け回転を教材として取り上げ研修会を進めました。

 すると、約50人位参加されていた先生方の内、約半数の方が出来ませんでした。日頃、子どもたちを指導している教師でも鉄棒運動は苦手なのです。

 鉄棒運動は、鉄棒を握らなくては始まらない運動です。ですから、日常生活の延長線上にある運動ではありません。そうしたことが、私たち教師も含めて、子どもたちが、鉄棒運動を遠ざける原因のひとつになっていると言ってよいでしょう。

 そのような状況の中で授業が展開されるのです。懸命に努力しても鉄棒運動ができるようにならない子どもたちの数は、他の運動領域よりも当然多くなります。

 こうした子どもたちを指導する時間をどのように確保したらよいのでしょうか?実技研修会に参加された先生方からも、熱心な質問を受けました。

 体育授業以外の休み時間や放課後に指導する、という答えもあるでしょう。しかし、授業の中で、子どもたちをできるようにするのが教師の仕事です。

 私は、授業設計について、自らの実践を通して若い先生方へアドバイスさせていただきました。

 単元のはじめには、鉄棒運動の学習の仕方を一斉指導します。時間が進むに連れ、子どもたちは学び方が上手になり、教師の細かな指導を必要としなくなります。しかも、上手にできるようになった子どもたちが、できない子どもをリードしてくれるようになっていきます。

 すると、5時間計画の後半2時間くらいには、教師ができない子どもたちを集めて、集中的に指導することができるようになるのです。

 ここでの指導は、子どもたちのできない原因を見極め、一人ひとりに応じた指導を補助したり、教具を用いたりしながら丁寧に指導し、濃密な時間となるようにします。

 授業は、教師が教えるものですが、同時に、子どもたちが、学習するものです。

 子どもたちに学習の仕方をしっかりと指導しておけば、技の達成に向けて、子どもたちが相互に協働しながら自主的に進められるようになるのです。これを鉄棒運動だけでなく、全ての運動領域で指導していれば、2学期の後半あたりからは、子どもたちの協働学習も軌道に乗ります。自主的な協働学習が進めば、教師は悪戦苦闘している子どもたちに十分な指導時間を確保できるようになるのです。

 これは、他の教科にも通じる理屈です。

 授業を一から十まで教師が教え、導く一斉画一型の展開があるべき姿と考えているようでは、子どもたち一人ひとりを伸ばす個別最適な学習はいつまで経っても絵空事となってしまうでしょう。

☆最初に学び方を教え、子どもたちが自主的に協働学習できる基礎を築きます。

 協働学習を軌道に乗せれば、単元の後半には、教師が苦手な子どもを集中的に指導する時間が確保できるようになります!

タイトルとURLをコピーしました