コラムー31 過去の役職が忘れられない厄介な人
◆「誰がそんなことを言っているんだ」「○○課長が先日の会議で仰っていたのですが」「○○だって?あいつは、俺が昔イロハを教えたんだ。あいつがそんなことを言っているなんてけしからん」現職の人を下に見た表現をすることにより自分の権威をひけらかそうとする厄介な人がいます。このような人を教育関係だけでも何人も見聞きしています。役所の中にも沢山いらっしゃいました。
そして、この手の人は、飲み会の席次にも執拗にこだわることが多いようです。挨拶の順番だって間違えると大変です。気ばかり遣わせる人、本当に厄介です。
このような厄介な人の中にも昔はそうでなかった人もいます。その仕事に一生懸命に打ち込み、数多くの成功と失敗から紡いだ自分なりの経験則に基づき、チーム全体の利益に大きく貢献した実績を持っていることが多いのです。その見返りとして、役職も上がり、数多くの部下を持つようになります。
ここまでは、皆の尊敬の的です。
その後、年齢が来れば、後進に公のポストを譲らなくてはならない時は必ず来るのです。定年退職です。こうなるとご本人は物足りなくなるようです。
後進のやる事なす事が気に入らず、退職しているのに頻繁に電話をしたり訪れたりするのです。
また、ある程度のポストを経験するとこの人を囲んで懇親会やゴルフコンペが始まります。一度やったら止められません。仕事以外のところで現役は、気を遣い、汗をかくようになります。挙げ句の果てに「人数を集めろ」と直接指示が飛んでくることもあります。
そして、会が始まると、昔の手柄話しを蕩々と話し始めます。過去に何回も聞いた話に相槌を打つのも疲れてしまいます。
自分が現役だった華やかな時代が忘れられないのでしょう。後進を立てることもできません。ひたすら自分がトップに君臨したがるのです。
孔子が言うところの「耳順」や「従心」とは真逆の位置にいるのです。
◆このような人に会う度に、秀吉の晩年を思い出します。権威があり、方々の後進が要職に就いていることもあります。ですから、現役は離れずに担ぎ上げ続けるのですが、これも行きすぎると自分自身の平衡感覚に支障をきたしてしまいます。
そして、知らず知らずの内に、自分もその人と同じ考え方を持つようになってしまい、後進へ気を遣わせる厄介な人に変わり果てます。
では、どうすればよいのでしょう。この人から離れることが最良の方策だと思います。
権威を持っている人だけに、離れれば、デメリットもあることでしょう。時には、裏切り者とバッシングされることもあるでしょう。
それでも、自分が厄介な人になるよりはましだ、と私は考えます。