音はひとつ 「教育は愛」No.128

学校教育

学校教育ー34 (起立する時の)音はひとつ

◆これは、私が担任時代に先輩から教えていただいたことです。

 その先輩は、学級開きの日に「音はひとつ」と子どもたちに教えていらっしゃたそうです。何の音がひとつなのか? それは、「起立」の号令に合わせて立ち上がる時に生じる椅子と床の摩擦音のことです。

 私は、早速自分の学級でも試しました。するとどうでしょう。見違えるように子どもたちの動きがキビキビしてくるではありませんか。気持ち良く起立して、元気に挨拶すると理屈を超えた快感が教室中に充満します。

 ここで、私が子どもたちに指導したのは、「立つ時の音はひとつだよ」の一言だけです。「早く立ちなさい」「みんな一斉に立ちなさい」など、小言めいた言葉は一切使いませんでした。

 子どもたちは「音」という具体的なめあてとなる言葉を共有することにより、できたか、できなかんたかが、明確に自己評価できたのです。そして、できた時にはすかさず誉めます。誉めれば、次も音は一つです。こうして、授業の開始と終了時には、いつも気持ちの良い挨拶ができるようになりました。

 この動作は、授業と休み時間を分けるスイッチの役割も果たしてくれました。自然とけじめのある雰囲気が学級全体に広がっていきました。

 このことは、挨拶の指導と同様、教師がある価値観をもって指導をしなければ、子どもたちの中から自然発生するものではありません。教えて、初めて気付き、できるようになるものです。

 ですから、まず、教師や大人が子どもたちにとって意義ある価値観を精錬していくことが第一に求められるのではないでしょうか。そして、その価値観を子どもたちに明確に語れるようでなければ、子どもたちの心に響く教育(指導)はできません。

 教師が自信を持って子どもたちに語ることのできる価値観をもつこと、これが、子どもたちを変容させる第1歩だと考えます。

 ☆子どもたちにけじめのある生活態度を身に付けさせたいものです。けじめはリズムと同じで、繰り 

 返し行われる動きの工夫から指導することもできるのではないでしょうか。

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