髙橋健夫先生の人間力 「教育は愛」No.167

人生の師

人生の師ー4 (髙橋健夫先生)髙橋健夫先生の人間力・リーダー力

◆髙橋健夫先生は、老若男女を問わず、会う人すべてから慕われていました。

 例え髙橋先生と異なる体育科教育論を唱える人でも、髙橋先生のお人柄に触れてしまうと、すぐに胸襟を開くようになります。

 そのため、髙橋先生には、幅広い方々からの仕事が集中し、日本国内だけでなく、海外へも赴かれていました。

 365日、多忙を極めた髙橋先生ですが、事ある度に、多くの方々と食事を楽しみました。その時は、いつもビール片手に、笑顔で本音を語ってくださいます。その姿を見て、益々、髙橋健夫先生の「人間力」に魅了されてしまいました。

 夜の勉強会後は、必ず大学近くの居酒屋で第2部が始まります。

 しかし、髙橋先生は決して無理強いはしません。ここがまた、髙橋先生の素敵なところのひとつです。当時、私は体育関係の先輩から誘われた時に、「断る」という選択肢はありませんでした。

 6人の研修教員たちも、毎週この日は、大学の宿泊施設に泊まります。

 第2部では心置きなくアルコールと体育談義を楽しみました。

 髙橋先生は、学生さんたちの研究について、核心をついたご指導をこの場でもされるのですが、生ビールを片手にユーモアを交えながら、笑顔で語ってくださいます。

 ご指導の中に「愛」が感じられたのです。

 そして、私たち、研修教員も遠慮無く、気持ち良く本音を話せるように誘ってくださるのです。

 髙橋先生は、アルコールが入っても、常に周囲の人たちへの心遣いを忘れない方でした。

 私が今まで経験した体育関係の懇親会では、大先輩の先生方は、ご自分の手柄話を気持ちよくお話しをされ、年下の者はお酒を楽しむ余裕などなく、気ばかり遣っている会が多かったように思います。

 髙橋先生の懇親会では、このような気遣いが全く必要ありませんでした。

 学生さんたちも、特段気を遣うことなく、各々のペースでお酒を飲みながら、体育科教育や将来の夢、学校教育の在り方、教師論などを自由闊達に語り合っていました。

 それでも、無礼講になることは決してありませんでした。

 会には、髙橋先生への敬意が満ちており、髙橋先生も決して偉ぶることなく誰とでも平等に接していらっしゃったので、あの雰囲気が満ちていたのでしょう。

 体育関係の上下関係の中で生きてきた私にとって、この経験は大きく価値観を変容させることとなりました。

 懇親会だけでなく、リーダーがチームを活性化させるために、どのような立ち居振る舞いをしたらよいのかも、深く学ばせていただきました。

 髙橋先生に出逢ってから、私のトップを見る目が大きく変わったことは言うまでもありません。

 この頃から、今まで参加していた体育サークル等についても、整理させていただき、校内での先輩後輩の関係についても、髙橋先生のような姿勢で「愛」をもって接するよう心掛けました。

 そして、上位の権力者や権威者に自己を依存させるのではなく、一人で伸び伸びと体育授業研究を重ねていく道を選択しました。

 髙橋先生の姿は、私の教師として、リーダーとしてのロールモデルとなったのです。

 それまでの私の小さな世界観に別れを告げることができました。

 私は、髙橋健夫先生のお蔭で、私の目指すリーダー像を明確にイメージすることができたのです。「愛」のあるリーダーです。         「教育は愛、リーダーも愛です」

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