コラムー2 感謝の気持ちに溢れる魅力的な方
感謝の気持ちを持てるか否かが、その人の人柄を判断する大きな要素になるのではないでしょうか。感謝の気持ちを持っている方は、謙虚であり、言葉や行動がとても丁寧でスマートです。
特にプロと言われる職業人は、誰に感謝しているかで、その人の人生観や仕事観が浮かび上がってきます。物づくりの会社の社員がお客様に対して感謝しながら仕事をしているのか? 上司に対して感謝しながら仕事をしているのか? 教師が子どもや保護者に対して感謝しながら教育しているのか? 校長や教育委員会に感謝しながら仕事をしているのか? 誰に対しても感謝する姿勢は必要なことです。
しかし、感謝のベクトルの方向が自分自身の保身のために向けられているようでは、誤った方向へ進んでしまうことになりかねません。自分は、誰のために今の仕事をしているのか、させていただいているのか、その根本を明確に問い直すことは大切なことです。
私が尊敬して止まない巨人軍の終身名誉監督の長嶋茂雄さんは、常にファンへの感謝の気持ちを持ち続けているプロ中のプロです。私が知り得るプロと呼ばれる人たちの中で、長嶋さんほどファンに感謝し、ファンのことを大切にしている方はいません。
現役時代はファンの期待に応えるため超人的な練習を積まれ、全力でプレーされて結果を残されました。監督時代には、巨人戦を楽しみにしている全国のファンのために決して負けゲームを作らず、ゲームセットになる最終最後まで全力で勝ちにいくゲーム展開をしてくれました。
また、マスコミのインタビューに対しても決して不快感を与えることなく明るく真摯にご対応されていました。長嶋さんのインタビューを聞いていると「よし、私も頑張ろう!」と、明日への活力が漲ってきたものです。
大病をされた後も、懸命にリハビリをされ、同じ病に苦しんでいる人たちへ希望の光を与えてくださいました。ミスタープロ野球は、常にファンのことを考え、並々ならぬ努力を重ねながら、ファンに感謝する姿勢を貫いています。その姿勢に一野球人を超えた一人の偉大な人として、老若男女を問わず、尊敬され、憧れの的となっているのです。
◎感謝の気持ちに溢れた方と出逢うと、持つと仕事や人生に対して、謙虚に、前向きに考えることができるようになります。日々の努力にも力が入ります。そして、自分は誰のために、何のために仕事をしているのか、誰のお蔭で今の生活があるのか、自分の足元一つひとつをじっくりと見つめ直すことができるようになるのではないでしょうか。
感謝の気持ちに溢れる方の周りには、活気と明るさの光が差しています。