コラムー3 一方的に話し続ける厄介な人
火が点いた油紙のようにペラペラと話す人がいます。時折、専門用語が入るのでその人なりの根拠がある話だろうと考えてみるものの、意味が分からない。そして、息継ぎも忘れるくらい一方的に話されているので、聞いていても反応の仕様がないし、長時間に及ぶとこちらの意識も次第に遠のいてしまいます。
それでもお構いなしに話しまくっている厄介な人。一体、この話はどのような結論に行き着くのだろうか? ひょっとして、この人はご自分で何を話しているのか、何を話したいと思っているのかご理解されていないまま話されているのではないか? と疑問を持ってしまいます。
この手の人は本当に厄介です。話し始めたら蟻地獄にハマった蟻のようになってしまいます。
なぜ、このように一方的に話しまくるのでしょうか?
話すこと自体が目的なら、相手の気持ちなどお構いなしで本人がスッキリするまで話し続けるのでしょう。しかし、何かを説明し、相手の意見を聞こうとしているのだとしたら問題です。相手に何かを伝えようとするのなら、話の構成を考え、表現力を工夫しなければなりません。息継ぎを忘れるくらい一方的に堰を切ったように話している姿からは、よほどの自分勝手、相手に反論させないために畳みかけているのではないかとさえ思ってしまいます。いずれにしても、相手がいる時は話ではなく会話になってほしいものです。
斎藤孝氏は、著書の中で、話し手の話し方、話の内容が面白くないスピーチについて次のように書かれています。
「30秒までは、余裕で耐えられる。1分までなら『この話は面白くないな』と思い始めても『まぁいいだろう』と平静に受け止められる。2分までなら『この話はつまらない』とハッキリ認定し始める。3分までだと『まだ、続くのか』と嫌気がさしてくる。3分を超えると怒りを感じ始める。」
◆私も大賛成です。
それでは、訳の分からない話を一方的にする厄介な人とはどのように接したらよいのでしょうか。
まず、時間と心の余裕を持つことです。限られた時間しか持ち合わせていない時や心身の調子が優れない時は、何でもいいから理由を付けてその場を離れた方がよいでしょう。無理して付き合うと喧嘩に発展しかねません。そして、時間と心身に余裕のある時で、その人を避けられない状況であれば、話の内容を理解しようとせずに、ひたすら聞き流すことです。「今日は、何をどのように話すのだろう? 何分間くらい話し続けることができるのだろう?」と半ば興味を持って聞いてみるのも手です。
そうすると、落ち着いて人間観察することができます。例えば、その人の話題転換をする時の仕草の特徴やお気に入りのフレーズなど、今まで気付かなかったことが発見できるものです。別にそれらを発見したところで自分にメリットがある訳ではありません。しかし、話を一方的に聞いているイライラからは解放されると思います。
もうひとつ、これは大切なことですが、その人の話に対して頷くこと、「そうなんだ」「なるほど」と言う相槌を打ってみることです。調子に乗って、話し手は益々言葉を浴びせかけてくるでしょうが、その分、あなたは相手の話を聞くことのスキルを向上させているのです。その人の話を聞くためでなく自分の聞く力の向上のためだと割り切ることができれば、苦痛と感じていた時間も楽しみの時間(?)に転換できるかも知れません。