生涯学習ー2 スポーツ少年団の理想の姿とは
◆地域には、野球やサッカー、バスケットボールなど様々なスポーツの少年チームがあります。
昭和40年代、私が小学生の頃は、クラスの友達と野球チームを作って、練習したり、隣町のチームと試合したりして楽しんでいました。
昭和の終わりから平成になると各地で通称「スポーツ少年団」と呼ばれるスポーツ団体が結成され、華々しい大会での様子なども報道されるようになりました。小学生時代からのスポーツの楽しみ方や考え方は、時代とともに少しずつ変化してきているように感じています。
あるニュース番組で名門の甲子園常連校を卒業した男性が、子どもたちのために野球チームを作り、その様子を特集していました。
ある子どものインタビューです。「他の野球チームだとグラウンドを10周走らされると聞きました。このチームでは、そういうことが無いから楽しいです」指導者の男性も、「本来、野球やスポーツは楽しいもの、誉められながら楽しく野球出来る場にしたい」と優しい笑顔で語られていました。
このチームでは、自分の好きなポジションで、思い切りプレーするそうです。そのハツラツさを見た時、私の知るスポーツ少年団とは異なる空気を感じました。
スポーツ少年団は、地域の指導者が中心となって、そのスポーツ種目の経験者をコーチに招くなどして運営しているものもあれば、プロチームの下部組織としてジュニアチームを結成して運営されているものなど形は様々です。パリオリンピックでメダリストを輩出したジュニアチームも、スポーツ少年団のひとつの形として数えることができるかも知れません。
スポーツ少年団は、れっきとしたチーム組織であり、その運営ビジョンもしっかりしています。
それこそ、将来のオリンピアやプロアスリートを養成することを目的としたチーム、大会で勝利することを目的とするチーム、スポーツを通して、礼儀やチームワークを学ばせようとするチームなど様々です。
しかし、共通していることは、チームを存続させるためには、勝利することひとつの目標となっています。
勝って初めて、そのチームの株が上がります。勝つためには、より高いレベルで競技したことのある指導者の練習経験を基にした指導方法が採用されます。
甲子園に出場した指導者は、高校時代に課せられていた練習方法を疑うことなく小学生に課す、といった具合です。
小学生は、神経系の発達が向上する時期で筋力系の発達には向いていません。それなのに筋力トレーニングを熱心に取り入れるようなチームもあることを耳にします。
スポーツ少年団で活躍した子どもたちは、その種目について高い技能を身に付けます。しかし、他の種目については、からっきし、という子どもも見てきました。
小学生の頃は、前述した通り神経系が発達する時期なので色々な動きを経験させ、体の動き方を高めていくのに適しています。ですから、色々なスポーツを経験させることが重要なのです。色々なスポーツを行うためには、どうしたらよいでしょう?
そのスポーツを大いに楽しめるようにしてあげることです。名門校の部活動のような練習や大会ではなく、広場に集い、体を思い切り動かしながらスポーツを「遊び」として楽しめるようにすることが理想ではないでしょうか。
プロスポーツのミニュチュア版になってはいけないと思うのです。
監督、コーチがいて、1軍、2軍がある。ポジションも大人が決める。そのような大人の考えるスポーツの世界を子どもたちに押しつけてしまうのはいかがなものでしょうか?
もっと、小学生のうちは、自分たちで集い、大人の関与しない世界でチームを作り、自分たちでチーム名や練習を考え、隣町のチームと試合をする、そうした経験をさせてあげることはできないものでしょうか?
えっ、そんなことをしたら、大会で勝てない?
日本のスポーツ競技力が低下してしまう?
う~ん、確かに・・・