家庭教育ー17 あたたかい家庭環境・夫婦の協働
◆子育ては、夫婦が協力して行うべきだと思います。しかし、時として子育てを母親に任せきりにして、父親は仕事一筋、というご家庭も散見されます。もっとも、私自身も子育てを妻任せにしていたことを今になって反省している父親の一人ですが・・・
私のように長年、学校で教育に取り組んでいるとお子さんの姿からご両親の姿勢を感じることが多々あります。
ご両親が同じ方向を向いて、子育てを協働されているご家庭のお子さんは、情緒が安定しています。学校で笑顔が沢山見られるのです。
事実、笑顔いっぱいのお子さんの保護者の方とお会いすると保護者の方も笑顔いっぱいでとても礼節をわきまえていらっしゃいます。ご両親揃って、とてもゆったりと落ち着いていらっしゃるのです。
反対に、情緒が安定していない傾向が目立つお子さんの保護者の方は、母親または父親の一方が、気持ちが安定していない傾向にあるようです。
ご両親揃って、面談をさせていただくとそのことが一層明確になります。ご夫婦の意見が一致していないのです。一致していないということは、日頃から子育てについて共通理解がされていないということです。
そして、もうひとつ。そのようなご家庭の保護者は、他人の所為にする傾向が強いようです。子ども同士の喧嘩や教師の指導に対して、寛容性が見られないのです。
周囲が退いてしまうほど激高される場合もあります。
この怒りはどこに原因があるのか?
冷静に観察してみると夫婦間の協力体制が確立していない場合が多く、恒常的にイライラされているようです。その日常の不満が、学校での人間関係のトラブルを見つけると一気に爆発して激高してしまうのではないでしょうか。
こうなるとお子さんの情緒は安定しません。
子どもの情緒、豊かな心の原点はあたたかい家庭環境です。夫婦で協働される家庭教育です。
もちろん、私のような母子家庭で育った者は、父親の存在を知りません。両親の子育てにおける協働はありませんでした。それでも、母の情緒はいつも安定し、私がトラブルを起こしても、決して友だちや教師の所為にすることはありませんでした。
母だけでも、父だけでも、子どもに安心感を与える家庭教育はあり得るのです。
植物に例えれば、家庭教育は、土であり肥料です。そして、発芽した植物の茎を支え、太陽の光となり、気温や湿度を調節していくのが学校教育や社会教育ではないでしょうか。
情緒の安定しないお子さんや保護者の方と接する度に、このようなことを考えてしまいます。