教師ー23 本気でぶつかる教師
◆子どもたちに本気でぶつかる教師が少なくなってきたように感じています。保護者からのクレームを必要以上に意識する教師。働き方改革の名のもとに合理化、業務を削減しようとする教師。このような社会の風潮に関係なく、心の底から子どもたちを愛し、情熱を傾けて、本気でぶつかっていく教師の姿を見るとホッとします。
昭和から平成の中頃までは、小学校でも子どもたちに愛情を注ぐ熱血教師の姿をよく見かけました。
自分の思いを情感豊かに語る教師。その姿に子どもたちは、感謝し、感動し、成長していく姿を目の当たりにしました。
あるベテラン教師は、子どもたちが友だちを傷つけるような行為やチームワークを乱すような行為をみかけると、烈火の如く叱ります。そして、どれだけ悔しく、情けない気持ちでいるかを切々と子どもたちに語るのです。
その目には涙が溢れ、鬼気迫る迫力さえ感じます。
本気なのです。本気で、子どもたちによりよい成長をしてほしい、人としてあるべき姿でいてほしいという願いしかないのです。
人は、本気で語る言葉には、真剣に耳を傾けるものです。子どもとて同じです。
「この教師は、自分たちのことを真剣に、本気で教育してくれている」、そう思った時、自分の行いを謙虚に振り返り、人としての成長を見せてくれるのではないでしょうか。
ある保護者が最近、こんなことを話してくれました。
「○○先生が本気で子どもたちにぶつかっていく姿に感謝しています。子どもたちには○○先生の愛情がしっかりと伝わっています」
本気になることとムキになることは違います。ムキになるのは、自分のメンツや感情が優先しているだけです。最早、子どもを指導する教師の態度ではありません。
しかし、本気になれば、なぁなぁで見過ごすことなどできないのです。本気だから、声だって大きくなります。涙だって流すのです。
このような本気の教師が指導した学級では、3学期の修了式では、尊い涙に溢れるものです。「4月からも○○先生の学級でいたい、友だちもみんな、今のままがいい」
こうした声を聞き、本気でぶつかる教師は、また涙を流すのです。