おたふく紫陽花 「教育は愛」No.376

生涯学習

生涯学習ー48 おたふく紫陽花

◆90歳を越える地域の方がいらっしゃいます。今、お世話になっている小学校をご自身もご卒業され、今なお、本校でボランティア活動をしてくださっている方です。紫陽花の季節になると必ず、ご自宅に咲いている、おたふく紫陽花を届けてくださいます。

 オタフクアジサイの正式名称は、「ウズアジサイ」というそうです。江戸時代に作られたガクアジサイの園芸品種だということです。

 ボランティアさんがおっしゃるには「この紫陽花が咲いているのは、この地域で私の家の庭だけです。珍しい紫陽花なので学校にも飾っていただきたいと思って持ってきました」と丁寧なご説明をされて、笑顔で届けてくださるのです。

 校長室へお通しして、昔の小学校の様子や長年ご尽力いただいているボランティア活動のことなど、色々とお話しを伺うことができました。特にご自身が小学校3年生の時に絵画のコンクールで入賞されたお話しはとても印象的でした。

 そして、先日、馴染みのお花屋さんからいただいた紫陽花を庭に植え、根付いたのを思い出し、「いただいたおたふく紫陽花を自宅の庭にも植えさせていただきます」とお話ししたところ、たいそう喜んでくださいました。

 「嬉しいです!この紫陽花は挿し木で根付きますよ。これもそうやって育ったのですから」と大賛成してくださいました。満面の笑みです。

 それから幾度となく、校長室を訪ねてくださり、おたふく紫陽花を持って来てくださいました。

 「妻も大変喜んで、一緒に植えさせていただきました」

 「そうですか。勝手に紫陽花を差し上げて、奥様に叱られているのではないかと心配していたんですよ。じゃあ良かった!」

 数日後も「これが最後の紫陽花です」と猛暑の中、おたふく紫陽花を持ってきてくださいました。

 この方のあたたかいお心が嬉しくて、毎日、庭のおたふくさんに水やりをしています。

 この方の満面の笑顔を思い浮かべながら。

 地域の方との心の交流、これも私にとっては至福の時間です。

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