肯定的な人間関係をはぐくむ体育授業      「教育は愛」 No.408

体育授業

体育授業ー37 肯定的な人間関係をはぐくむ体育授業

◆子どもが評価する体育授業、その2です。人と人とが、支え合って生活していく上で、他者を認め、肯定的な人間関係を築くことは欠かすことのできないものです。体育授業で肯定的な人間関係をはぐくむためにはどうしたらよいのでしょうか。

 体育授業は「諸刃の刃」と表現されることがあります。できた、できない、勝った、負けたが大衆の前で明確にされるからです。成果をおさめた者は喜び、自信をもちます。反対の結果が出た者は、落胆と悔し涙に暮れてしまうからです。

 高学年の体育授業でのことでした。短距離走をしている時、一人の子どもが転んでしまったのです。

 するとそれを見ていた子どもたちから笑いが漏れたのです。

 私はこのことを重く捉えました。そして、考えた後、子どもたちは集めてこう話したのです。

 「今、○○さんが転んでしまいました。全力で走ろうとして、足がもつれてしまったのです。そういう時には、どのような声かけをしてあげれば、○○さんは元気を取り戻せるでしょうか?」

 私が考えたのは、子どもたちは、目の前で失敗した友だちに対して、悪意をもって笑ったのではなく、どのような声かけをしてよいのか分からなかったのだ、と考えたのです。

 そして、「友だちが失敗したり、間違ったりした時には『ドンマイ』という言葉をかけてあげると元気になれますよ」と指導したのです。すると、子どもたちはこの後、友だちが失敗しても「ドンマイ!」と声をかけ合い、笑顔を交わすようになりました。

 また、中学年のボールゲームの後の挨拶でした。勝敗が決し、整列し挨拶、握手を交わします。その時一人の男の子が「ありがとう、がんばったね」と言葉を加えたのです。

 この言葉を聞き、私はすぐに子どもたち全員に紹介しました。

 「今、◎◎君が、挨拶の時に『ありがとう、がんばったね』という言葉をかけていたのを見て、感動してしまいました。勝敗が決まった後の相手を讃える言葉、これがスポーツマンシップというものです。みなさんも◎◎さんの言葉をまねしていきましょう」

 結果が両極端に表れるからこそ、はぐくむことができる肯定的な人間関係=「愛」に直結しているのが体育授業なのです。

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